コロナ死と基礎疾患の関連性に新たな見解 神経疾患に高リスク

Photo by Anindito Mukherjee/Getty Images

新型コロナウイルスに感染した場合、最も死亡リスクを高める基礎疾患とされてきたのは、心疾患や慢性肺疾患、がんなどだろう。だが、それら以上に死亡する危険性を高めるのは、アルツハイマー病をはじめとする認知症など、神経疾患なのかもしれない。

米退役軍人省(VA)が管轄する研究機関が行った調査の結果、変性神経疾患その他の認知症と診断されていた感染者は、その他の基礎疾患がある人と比べて死亡する確率が高くなっていたことがわかった。

研究チームはVA関連の医療機関で診察を受けた感染者およそ34万7200人の電子カルテの情報を分析。その結果を先ごろ、オックスフォード大学出版局のオックスフォード・アカデミックが運営するオープン・アクセス・ジャーナル、「バイオロジー・メソッズ&プロトコルズ(Biology Methods & Protocols)」に発表した。

研究チームによると、アルツハイマー病の患者はその他の感染者に比べて5.2倍、ほかの認知症の患者は5.1倍、高血圧の人は4.83倍、死亡する可能性が高くなっていた。また、通常は心疾患や免疫不全と関連づけられていない重度の障害がある、または生理的発達に問題がある感染者は、そうでない人に比べて死亡リスクが4.2倍、高まっていた。

この研究は、さまざまな基礎疾患がある感染者の死亡リスクを予測するための新たな方法を評価するために行われた。その結果、これまで用いられてきた「併存疾患指数」に基づく死亡リスクの予測は一部の疾患のリスクを過小評価する危険性があり、おそらく新たなモデルの方が、より適切なものと考えられるという。

以前からある指数を使用した場合、大半の医師は重症化の要因となる呼吸器系や免疫系の問題と、神経系疾患や重度の障害を結びつけて考えないことが指摘されている。

また、従来の指標に基づいて行われた過去の研究の中には、感染者の死亡リスクを評価する際に基礎疾患を大まかなグループに分類しており、実際には死亡リスクが最も高いとみられる疾患の一部を除外していたものもある。

つまり、神経疾患など一部の疾患についてはこれまで、感染が及ぼす実際の影響を予測できていなかったことになる。
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編集=木内涼子

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