毎年変わるファッショントレンドや、数年後に壊れるように設計された電子機器など、さまざまな手法を用いて消費を促し、大量のゴミを生み出しているのだ。
今回は消費社会に潜む闇「計画的陳腐化」について解説する。字面から難しそうに感じるかもしれないが、実はすごく身近なテーマなので、ぜひ最後まで読んでほしい。
計画的陳腐化とは
計画的陳腐化とは、あえて製品の寿命が短くなるように作り、新しい製品の購買を促すマーケティング手法のことだ。
一定期間で物理的に使えなくなるように設計するだけでなく、デザインや機能を計画的に変更して「流行遅れ」という印象を与え、心理的に陳腐化させる方法もある。
1920年代に初めて用いられ、人々の環境への意識の高まりから時代遅れになったという声が増えてはいるものの、いまだにさまざまな製品で使用されている。
計画的陳腐化の3つの形
計画的陳腐化には、大きく分けて以下の3つの種類がある。
1. 機能的陳腐化
短期間に繰り返し製品の機能をグレードアップすることで、新製品への買い換え需要を促進する手法。
2. 物理的陳腐化
一定時期が経つと製品が老朽化したり、物理的に使えなくなったりするように意図的に設計する手法。
3. 心理的陳腐化
製品のモデルやデザインを変更することで流行を創り出し、時代遅れという印象を与えて陳腐化させる手法。
以上で計画的陳腐化の大まかな意味はお伝えしたので、ここからは実際の事例を見ていこう。
「ポイボス・カルテル」電球の寿命は1000時間
1920年代、電球の寿命が1000時間を越えないように制限する国際的な企業協約「ポイボス・カルテル」が結ばれた。電球は常時検査され、違反すると罰金を課せられたそうだ。
定期的に買い替えさせることで消費が増え、一時的に経済は潤ったが、その裏では大量のゴミが発生した。
約20年間、電球業界における正当な競争を減少させ、寿命の長い電球を製造するための研究開発が妨げられてしまった。
GMのモデルチェンジ戦略
1920年代、GM(ゼネラルモーターズ)は年1回の短いスパンでモデルチェンジを行い、旧型モデルを心理的に陳腐化させることで、大量の自動車を売ることに成功した。
当時市場を独占していたフォードは単一モデルを大量生産するビジネスモデルであったため、GMのモデルチェンジ戦略は革新的であり、ほかの自動車メーカーだけでなくさまざまな業種に採用されていった。