ザッカーバーグの保有資産は、昨年9月以降に768億ドル(約11.1兆円)も減少し、彼は米国の富豪リストの3位から11位に転落した。9月2日時点の株価をベースとした現在のザッカーバーグの資産は577億ドル(約8.4兆円)で、彼のここ1年の資産の減少額は、米国のすべての富豪たちを上回っている。
彼がトップ10から脱落したのは、メタ(旧フェイスブック)の株価が暴落したおかげだ。同社の株価は、昨年9月以降に60%近く急落しており、マイクロソフト(14%減)やグーグルの親会社アルファベット(25%減)、アマゾン(27%減)らを大幅に上回る下落となった。
メタの不調の原因の一つは、昨年アップルが行ったプライバシーポリシーの更新で、これによりハイテク企業がアプリ間でユーザーを追跡することが難しくなり、広告収益が落ち込んだ。さらに、TikTokがZ世代やミレニアル世代を取り込み、フェイスブックから広告主を遠ざけていることが問題を複雑にしている。メタは今年2月に四半期ベースで初めてデイリーアクティブユーザーが減少したことを発表していた。
また、メタはバーチャルリアリティとメタバースに多額の投資を行っており、これが営業利益の足を引っ張っている。同社のメタバース部門であるMeta Reality Labsは2021年に100億ドルの損失を出した。
ザッカーバーグは、メタバースのポテンシャルを盛んにアピールするが、投資家は今のところあまり乗り気ではない。「メタバースへの投資は、今のところ、現金を吸い取られるようなものだ」と投資銀行Benchmarkのマーク・ズグトビッチは述べている。
23歳で資産15億ドル
ザッカーバーグが初めて億万長者になったのは、フェイスブックの創業からわずか4年後の2008年のことで、当時23歳だった彼は保有資産15億ドルで、フォーブス400の321位にランクインした。その3年後の2011年に、彼の資産は約12倍の175億ドルに膨らんだ。
ザッカーバーグの純資産が急減したのは、今年が初めてではない。2012年にフェイスブックのIPOが失敗に終わると、ザッカーバーグはランキングの14位から36位に転落した。しかし、その翌年には再び勢いを取り戻し、昨年まで彼の財産は増え続けていた。数々の論争やスキャンダルが会社を苦しめたにもかかわらず、フェイスブックの広告マシンは成長を続け、ザッカーバーグの資産は昨年、過去最高の1345億ドルにまで上昇していた。
会社の長期的展望をメタバースに賭けるザッカーバーグが、初期のつまずきを乗り越えられるかどうかは、まだわからない。先月、彼はVRソーシャルネットワーク「Horizon Worlds」で撮影したシンプルすぎる自撮り写真を公開し、世界中から嘲笑された。メタの株価はそれ以来8%下落している。
(forbes.com 原文)