投票の結果、FDIの得票率は26%。シルヴィオ・ベルルスコーニ元首相率いる中道右派の「フォルツァ・イタリア」とマッテオ・サルヴィーニが党首を務める極右の「同盟」がそれぞれ8%、9%を獲得し、右派連合を合わせた得票率は約44%となった。
こうしたイタリアの急激な右傾化に対し、欧州各国の政治家たちからは大げさな称賛や、今後への不安、あからさまな失望など、さまざまな反応が示されている。
ドイツの右派「ドイツのための選択肢(AfD)」とスペインの極右「ボックス(Vox)」、フランスの極右「国民連合(RN)」の党首たちはそれぞれ、メローニの勝利を祝う言葉を送った。
ポーランドのマテウシュ・モラヴィエツキ首相(右派「法と正義」)、ハンガリーのオルバン・ヴィクトル首相(中道右派「フィデス=ハンガリー市民同盟」)もまた、メローニを祝福している。
一方、フランスのエリザベット・ボルヌ首相は選挙結果に関する直接の言及を避け、人権に関する欧州の価値観を尊重する必要性を強調した。スペインのホセ・マヌエル・アルバレス外相は、結果への失望をあらわにし、「ポピュリズム(大衆迎合)は常に惨事に終わる」とコメントしている。
結果が意味するものとは
イタリアの右傾化の可能性に対しては、欧州にとどまらず世界中が警戒感を示している。欧州連合(EU)の創設メンバーであるイタリアは、加盟国中第3位の経済国であり、域内においても国自体としても、政治的な重要性を持つ国だ。
FDIの勝利は、欧州全体がより大きく右傾化する前兆ではないかと懸念する人たちもいる。9月初めのスウェーデンの総選挙でも、右派連合が勝利している。また、4月に行われたフランスの大統領選でも、RNの党首マリーヌ・ルペンは決戦投票で中道の現職エマニュエル・マクロンに敗北したものの、多くの支持を集めていた。
2014年からFDIを率い、「イタリア・ファースト」を掲げてきたるメローニは、党のイメージを回復させようと、そのルーツがファシスト党にあることから距離を置こうと努めてきた。そして、2018年の総選挙で得票率がわずか4%だったFDIはメローニとともに、急速に人気を高めてきた。
今回のイタリアの選挙結果は、EUにおける力関係の大幅な転換を示すものといえる。メローニが掲げる政策は、移民や経済など複数において、EUと衝突する。
メローニのリーダーシップの下でイタリアは今後、人権やガバナンスといった基本的な問題においてEUと対立してきたハンガリーやポーランドと、より歩調を合わせていくことになるかもしれない。
(Forbes.com 原文)