食品価格の高騰が収まらない米国で、プライベートブランドが躍進

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食料品店は、ずっと以前から各ブランドがしのぎを削る場であり続けてきた。しかし最近は、プライベートブランドがこの戦いの勝者となりつつある。

ウォルマートからトレーダー・ジョーズに至るまで、複数の小売業者がプライベートブランドのテコ入れを図っている。アフターコロナの経済状況、インフレ、さらには独自ブランド構築を図る小売業者の思惑も重なって、プライベートブランドには素晴らしい追い風が吹いているように見える。

最も多くの消費者にリーチしているのはウォルマートのプライベートブランドだが、成長のペースで言うと、他の小売業者のブランドが上回っている。データおよびテクノロジーに強みを持つ市場調査企業のニューメレイター(Numerator)によると、世帯普及率で見た場合、アルディやターゲット、アマゾンの擁するプライベートブランドが、いずれも急成長を遂げているという。

アルディ・プライベートブランドの世帯普及率は、2022年度第2四半期の時点で前年比2.3%の上昇となっている。2.2%でこれに続くのが、ターゲットのブランド「フェイバリット・デイ(Favorite Day)」だ。また、アマゾンの「Amazonベーシック」の普及率も1.7%アップした。プライベートブランドは、ただ規模が大きいだけではない。多くのブランドが、さらに大きくなろうとしているのだ。

強烈なブランド力を持つプライベートブランド


プライベートブランド自体は、特に新しいものではない。コストコの「カークランド・シグネチャー(Kirkland Signature)」のブランド価値は約750億ドルに上ると評価されている。また、トレーダー・ジョーズやアルディ、リドル、クローガー、ウェグマンズといった小売企業の店舗は、どれもプライベートブランドへの依存度がかなり高い。さらにこうしたブランドは、あらゆるカテゴリーへと、その商品ラインアップを拡大している。

2021年時点で、米国のスーパーマーケットにおけるプライベートブランドの売上高が最も多かった商品ジャンルは、404億ドルを売り上げた冷蔵食品だ。これに続くのが、一般的な食材の338億ドル、雑貨の252億ドルとなっている(スタティスタ調べ)。
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翻訳=長谷睦/ガリレオ

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