これは、タコベルとビヨンド・ミートが提携して行う初の市場テストだ。両社が提携をスタートさせたのは、2021年2月。タコベルの親会社ヤム・ブランズが、ビヨンド・ミートとメニュー開発に向けた3年契約を結んだのだ。
2021年12月には、ビヨンド・ミートの植物由来肉を使ったカルネ・アサダ・ステーキの試験販売が白紙になったと噂されたが、それから1年未満での実現となった。
知ってのとおり、タコベルと同じヤム・ブランズ傘下であるKFCとピザハットは、すでにビヨンド・ミートを使ったメニューの試験販売をしている。KFCが2022年1月に「ビヨンド・フライド・チキン」を販売した際には大きな話題になった。
タコベルがこのたび販売するビヨンド・カルネ・アサダ・ステーキには、ソラマメのほか、タコベル独自のスパイスなどが使われている。価格は、従来のカルネ・アサダ・ステーキと同じ。追加料金なしで、他のどのセットメニューとも交換可能だ。
タコベルの最高フード・イノベーション責任者を務めるエリザベス・マシューズ(Elizabeth Matthews)は2022年8月のインタビューで、植物由来食品を使ったメニューの市場テストでは、同種商品と同一価格にして購入しやすくすることが極めて重要だったと述べた。これまでのケースでは、植物由来代替肉を使った商品は、動物由来の商品と比べて40%ほど高く価格設定されてきた。
今回の市場テストが順調に進めば、ビヨンド・ミートにとっては待望の追い風となるかもしれない。同社株価は年初から約75%も下落。9月第4週に入ってからは史上最安値を更新している。
ビヨンド・ミートは、植物由来代替肉分野での競争激化と、容赦ないインフレ圧力に直面している。また、マクドナルドと共同開発したパティ「McPlant」のメニューは、2022年7月に試験販売を終了して姿を消した。売上が振るわなかったのではないかというのがアナリストの見方だ。