シンガポールの財務大臣でもあるウォンは9月26日、シンガポールで開催されたフォーブス・グローバルCEOカンファレンスのキーノートで、「私たちは決して気を抜いてはいけない。さもなくば、他の国に先を越されてしまう」と発言した。
ウォンによるとシンガポール政府は、貿易の増加に対応するため空港と港湾の拡張を進めると同時に、アジアの金融ハブとしての地位を強化するため、金融業界へのデジタルテクノロジーの導入を後押ししているという。
シンガポールは同国の南西部に建設中の新港「トゥアス港」に140億ドルを注ぎ、2040年代の最終完成時には世界最大級の完全自動化ターミナルにしようとしている。また、チャンギ空港に第5の旅客ターミナルを建設し、年間5000万人の旅行者を追加で受け入れようとしている。「増え続ける需要に対応していかねばならない」とウォンは述べた。
これらの投資によってシンガポールは世界のサプライチェーンにおける重要な地位を維持し続けられると彼は述べている。「私たちは世界秩序の新時代を迎えている。私たちの周りには、とてつもなく大きな不確実性が存在しているのだ」
パンデミックや米中関係の悪化によるサプライチェーンの混乱とは別に、世界はインフレと金利の上昇にも悩まされている。「世界はより危険で分断されたものになるだろう」と、ウォンは指摘した。
リー・シェンロン首相の後任として、シンガポールの次期首相になることがほぼ確実視されているウォンは、政権移行の時期はまだ決まっていないと述べた。彼は、政府がまずインフレに対処し、来年起こりうる経済減速の影響を和らげることに集中していることを強調した。
(forbes.com 原文)