アップルは2020年に、「人種的公平と正義のイニシアチブ」(REJI)を立ち上げて、ダイバーシティとインクルージョンを推進していくと発表したが、今回のパートナーシップはその一環とされている。
同社は、サウスバンクセンターで、黒人クリエイターが人種のバリアを克服するためのプログラムを提供し、地元の学校との連携でアートへの情熱を喚起していくという。同様のプログラムは、バーミンガムとマンチェスターでも実施される予定だ。
クックは、23日の会場で15人の黒人写真家が参加する「フォト・ファンタスティック」というプログラムの参加者に話を聞き、彼らが体験したことと、このプログラムを知ったきっかけを尋ねていた。その様子を見ていた筆者は、アップルがREJIのようなイニシアチブを立ち上げた意図をクックに聞いてみた。
「アップルは、人々がこの世界をよりよい場所にしていく必要があると考えている。私たちはREJIの活動を通じて、そのことにコミットしている」と、クックは答えてくれた。
アップルは、2020年にREJIを立ち上げたときに、このイニシアチブに1億ドルを注ぐと述べていた。しかし、クックによるとその額は当初の予定をはるかに上回り、1億5000万ドル(約216億円)を超えているという。
サウスバンク・センターの議長を務めるミサン・ハリマン(Misan Harriman)は、BLM運動に重要な貢献をした写真家としても知られている。当日のイベントで彼は、「サウスバンクで展示を行い、素晴らしいクリエイターやその作品と接することがいかに重要であるかを分かってもらえたと思う。この取り組みはまだ始まったばかりだ」と語った。
クックは、彼の発言に同意し、「このようなプロジェクトは、非常に重要なものだ。しかし、誰もが公平な機会を得られるわけではないのが現実だ」と語った。
スティーブ・ジョブズが生きていたら、今回のパートナーシップとREJIの活動について何を言ったと思うか、という質問に対してクックは、ジョブズがいかに人々の才能を解放することに熱心であったかに言及した。「スティーブは、人々が創造性を発揮するのを見るのが好きだった。彼らを手助けし、人々に彼らの才能を知らせるのが好きだった」とクックは語った。
(forbes.com 原文)