忘れ去られていた英国のカエルが絶滅危惧種から復活するまで

プールフロッグ(学名Pelophylax lessonae)はイングランド南東部全体に少数生息する比較的大きい太陽を好む(クレジット:Getty Images)


現在、プールフロッグは英国政府の生物多様性保全計画の下で保護されているわずか4種類の両生類の1つだ。プールフロッグは、イースト・アングリア地方のフェンランドおよびブレックランド地区への人間の侵入が湿地帯の生息場所を崩壊させた結果個体数が減少した。大気汚染による池水の過剰な硝化も原因になっている。

研究結果が、絶滅したプールフロッグが英国在来種であることを示した後、ARCおよびその協力者たちは行動を開始した。彼らはまずカエルの生息地を回復し、厳格なバイオセキュリティ・プロトコルを実践することで、在来個体数を復活させるために北海を越えてカエルたちを安全に空輸できるようにした。次にプールフロッグとオタマジャクシを捕獲し、最も近い種の住むスウェーデンで育てた後、2005年にノーフォークの秘密の場所へ運び、そこに小さなコロニーが作られることを期待した。

秘密の場所で生まれたオタマジャクシは、2015年にトンプソン・コモンに放流された。トンプソン・コモンはこのカエルたちにとって理想的な環境だ。そこは「ピンゴ(pingo、円錐状の丘を意味するイヌイット語由来)」と呼ばれる小さな残存氷河の池で満たされている。ピンゴ池は1年を通して淡水をたたえ、太陽が大好きなプールフロッグにとって理想的な場所だ。

これまでのところ、このプールフロッグたちの未来は明るい。絶滅危惧ⅠA類に登録されてはいるが、このカエル種は自立できる個体数を確保し、当初放流された池から外へ向かって移動していると見られる。

「絶滅から動物を回復したといえることはあまりありませんが、私たちがパートナーおよび政府のGreen Recovery Challenge Fund(グリーン・リカバリー・チャレンジ基金)の資金とともに成し遂げたのは、まさしくそれです」とARCの保護担当ディレクター、ジム・フォスターは語る。

カリフォルニア科学アカデミーが支援するbioGraphicに掲載されている、映像作家Katie Garrettによる感性豊かなミニ・ドキュメンタリーは、イングランドのほとんど忘れられたプールフロッグと、カエルたちを故郷に取り戻した保護活動の物語を伝えている。


この動画は、カリフォルニア科学アカデミーが支援する自然と保護に関する独立雑誌、bioGraphicで最初に公開された

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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