ビジネス

2022.09.28 10:30

「生産性」に対する考え方で従業員と雇用者に大きな隔たり マイクロソフト調査

安井克至

今回のレポートは、マクロ経済の数字が生産性の急落を示す中でのもので、特に見えないところで従業員がどれだけ仕事をこなしているかという雇用主の不安をあおる可能性がある。米国の非農業部門における労働時間当たりの商品やサービスの生産を測る労働生産性は、パンデミックの影響で上昇した後、第1四半期には過去74年で最も大きく低下し、続いて第2四半期にも低下した。

しかし生産性の低下は、怠け者の若い労働者が「仕事に本気を出さない」ことや、ハイブリッド労働者が電子メールに返信せずに家で洗濯物をたたんでいることの表れではないと多くの人が主張する。むしろ、大量退職時代の後に新しい仕事に就いた経験の浅い労働者や、多くの新入社員を教育しなければならないベテラン労働者、パンデミック初期に残業していた労働者の燃え尽きが、生産性の低下に真に大きな影響を与えているように見える。

マイクロソフトのレポートによると、データには違いが表れている。例えば、ハイブリッドワーカーのマネージャーは職場のマネージャーよりも従業員がベストの仕事をすると信じるのに苦労していると答える人が多い(ハイブリッドワーカーのマネージャーが49%なのに対し、職場のマネージャーは36%だ)。

スパタロは、管理職の自信のなさはハイブリッド環境で働く従業員を見ることができないことだけでなく、管理職が業績で直面する絶え間ないプレッシャーや高い期待からくるものだと考えているという。スパタロが経営者と1対1で話し、パンデミック発生時の労働者の生産性を思い出させると、彼らは気になることをいったという。「1年半から2年の間にアドレナリンが放出されたのだろうか。私たちはみな、できる限り力を合わせて頑張ってきた。しかし、もしこれがニューノーマルになるとしたら、私たちは生産的であり続けることができるのだろうか?」

最新の「Work Trends Index」では、無料の食事やロックコンサートの提供、あるいは罰則の脅しなどは人々をオフィスに戻すのにあまり効果がなさそうなことも指摘されている。本当に人をオフィスに呼び戻すことができるのは同僚だ。84%の従業員が社交の場を約束すればオフィスに戻る気になると答え、85%がチームの結束力を再構築する機会としてオフィスに戻る気になると答えている。また、チームメンバー(73%)や職場の友人(74%)がいるとわかれば、より頻繁にオフィスに行きやすいと回答している。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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