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2022.09.30

「データで駆動するAI」と「感情で駆動する人間」の関係性を変える|石川隆一 <電通グループで働くネクスト・クリエイターの肖像#1>

国内の約160社で構成される国内電通グループから、ネクスト・クリエイターの目覚ましい仕事を紹介していく連載企画。第一回は、電通デジタルで「AI×クリエイティブ」の可能性に挑んでいる石川隆一が登場。Forbes JAPAN Web編集長の谷本有香が、彼の想いを聞いた。


「AIを例えるなら、おもちゃ」という意外な答えに込めた想いとは


谷本有香(以下、谷本):石川さんは、電通デジタルのクリエイティブ組織「アドバンストクリエイティブセンター(ACRC)」に所属されていますね。まずは、このACRCがどのような組織であるのか、そして石川さんがどのようなお仕事をされているのかについて教えてください。

石川隆一(以下、石川):ACRCは、「データ/AIとクリエイティビティの融合」を掲げています。新しいことにチャレンジしたいと考えている組織と言えるでしょう。そして、私の肩書は「AIクリエイティブ・エンジニア/プランナー」です。すなわち、エンジニアとプランナーの職能・職責を果たしながら、「AI×クリエイティブ」を追求していくプロフェッショナルとして企業や社会に貢献するのが私の仕事です。

谷本:「さまざまなデータをもとに生み出されるAI」と「血の通った人間だからこそ生み出せるクリエイティブ」。この掛け合わせによっていかなる価値を創造できるのかということに日々、鋭意専心されているのですね。

石川:素敵にまとめていただき、ありがとうございます(笑)。普段は、エンジニアとクリエイティブの領域が半々といった感じでしょうか。バナー広告やリスティング広告の効果を予測するAIなどもつくっています。

谷本:電通デジタルは、DXやデジタルマーケティングのすべての領域に対して「コンサルティング/開発・実装/運用・実行支援」の機能を有する専門会社として2016年に設立されました。デジタルを通してクライアント企業のビジネスをアップデートしていくことが、会社としての使命なのでしょうか。

石川:電通デジタルは、「人の心を動かし、価値を創造し、世界のあり方を変える。」というパーパスを掲げています。ハンズオンでのDX支援、顧客体験の質を向上させるAIソリューションの開発といった事業を行いながら、約500名のクリエイターが人の心を動かす広告を創り続けているのが会社としての特色でしょうか。

谷本:会社がもっとも大事にするステートメントの冒頭に「人の心を動かし」をもってきているところに、それこそ電通デジタルの心意気というか熱い想いが感じられます。いま、DXやAIを自社や自身の武器と捉える向きもあると思うのですが、石川さんご自身は「AIクリエイティブ・エンジニア/プランナー」としてAIというものをどのように捉えているのでしょうか。すなわち、石川さんにとってAIとは何なのでしょうか。

石川:あえて誤解を恐れずに言うのであれば、私にとってAIとは「おもちゃ」ですね。武器でもなく、道具でもなく、「おもちゃ」です。


石川隆一 電通デジタル アドバンストクリエイティブセンター AIクリエイティブ事業部 AIクリエイティブ・エンジニア/プランナー

谷本:「おもちゃ」というのは、こちらがちょっと予想していなかったクリエイティブな回答ですね(笑)。その心は?

石川:まず、AIは誰かと戦ったり、傷つけたりするためにあるのではないと考えていますから「武器」ではないです。また、「道具」と言えるほど堅くも考えていないというか。独りよがりなものではなくて、その「おもちゃ」が仲立ちになることで誰かと誰かが以前よりも通じ合える、親密になれるといったイメージです(笑)。

谷本:そうした、ある種「自由な発想の源」は、どこにあるのでしょうか。そもそも、石川さんはAIのお仕事がしたくて学生のころから専門的に学ばれてきたのですか?

石川:いえ、違います。私は音楽の大学でギターを専攻していました。しかも、アコースティックではなくてロックです。卒業後は、ロックバンドをやっていました。ニュースでAIを知って興味をもち、勉強を始めたんですが、当時はまだまだ黎明期だったこともあり、AIの知識と技術についてはほとんど独学で学びました。そのような私をメンバーの一員に選んでくれるわけですから、電通デジタルはチャレンジングな会社だと思いますね。

谷本:なるほど。非常に理解できます。企業というものは「他社のできないことをどれだけできるかで成功の度合いが決まる」と言われていますね。すなわち、他社が見つけていない独自のチャンスを見つけていかなければなりません。イノベーションを起こせる組織は、例外なく多様性に富んでいます。石川さんのようなバックボーンを有する方が自由な発想で、AIという「おもちゃ」と向き合っている。それこそが、他社に先んじて、あるいは他社よりも深く、人の心を動かすことにつながっているのだと思います。


谷本有香 Forbes JAPAN Web編集長

AIと人間の関係性を幸せな方向へと進展させるのは誰だ


谷本:石川さんは、2021年の「クリエイター・オブ・ザ・イヤー賞」でメダリストに輝かれています。この賞は、企業の課題解決を促す施策の実施を牽引し、広告会社の価値向上に資するクリエイティブを1年間に複数生み出したクリエイター個人を表彰するものですね。受賞対象となったのは、どのようなクリエイティブになるのでしょうか。

石川:「“名画になった”海展」や「TEHAI」です。これらはアドバンストクリエイティブセンター内でのコンペで社会課題を解決する企画を考えたことが起点となって生まれた作品です。

谷本:その両作品について、少し解説していただけますか?

石川:「“名画になった”海展」は、「2050年に海洋プラスチックごみの量が魚の量を超える」という予測データに基づき、実際のプラスチックごみの画像を有名な名画のタッチにAIで変換して「2050年版の名画」を生み出し、仙台うみの杜水族館にて美術展としてお客様に観ていただきました。

谷本:例えば、葛飾北斎が2050年の世界に生きていて『神奈川沖浪裏』を描いたら、ということですね。過去の偉大なるクリエイターたちの創造性と石川さんの創造性が、ときを超えてAIを介して交わり、いまを生きる人々の心を動かしたと……。まさに「AIクリエイティブ・エンジニア/プランナー」の本領が発揮されたお仕事ですね。

石川:「TEHAI」は、21年度のグッドデザイン賞もいただくことができたプロジェクトです。警察庁から写真や情報提供などの協力を得ながら、AIの画像解析・生成技術を用いて指名手配被疑者の現在の姿を予測するという取り組みになります。



谷本:交番などでよく見かける、あのポスターをAIのチカラでアップデートしたわけですね。「“名画になった”海展」と「TEHAI」は、どちらもソーシャルなプロジェクトであるところにこれからのAIの壮大なる可能性が感じられます。

石川:実はもうひとつ、実現はしなかったのですが、取り組んでいたプロジェクトがあります。考え方のベースは「TEHAI」と同じですが、「TEHAI」とはまったく違う意味や意義をもって人の心を動かすことができないか、と考えていたものです。例えば、結婚式を迎えた新婦さんがいます。そのご両親がすでに亡くなられている場合、当然ながら式に出席することはできません。しかし、もし、ご両親に結婚式を見せたいと新婦さんが願うのならば、写真からAIによって今日現在の姿を創り出せることが可能になります。そう考えれば、その新婦さんが迎える結婚式のあり方は変わってきます。

谷本:それこそ、「人の心を動かし、価値を創造し、世界のあり方を変える」という電通デジタルのパーパスを体現するかのような取り組みですね。「涙を流さないAI」と「涙を流す人間」の共存のあり方として、大いなる示唆を与えてくれるものでもあります。

石川:ありがとうございます。「データで駆動するAI」と「感情で駆動する人間」。両者の理想の関係性というものを、これからも探っていきたいと考えています。

谷本:いい音楽を聴けば、音符のひとつひとつが踊っているかのように感じられることがあります。それと同じように、石川さんがAIを用いて生み出した作品を観ると、ひとつひとつのデータが踊っているかのように感じられます。石川さんのこれからの益々のご活躍が本当に楽しみでなりません。期待しています。今日は、本当にありがとうございました。



どんな人間であっても、ひとりですべてを知り尽くし、ひとりですべてを行いきることなどできない。ビジネスにおける成功の鍵は「人と創造的に協働する能力をもつこと」だと言えよう。そして、これからの時代においては、「人はAIとも創造的に協働する能力をもつこと」が必要となる。いま、人に求められる共創・協働の概念が確実に変わっているのだ。その最先端にいるのがAIクリエイティブ・エンジニア/プランナーの石川隆一であり、アドバンストクリエイティブセンターであり、電通デジタルである。AI×クリエイティブ。その可能性は、すさまじい。

電通グループ
グループコーポレートコミュニケーションオフィス
Email:group-cc@dentsu-group.com

連載 電通グループで働くネクスト・クリエイターの肖像
#1 本記事|「データで駆動するAI」と「感情で駆動する人間」の関係性を変える|石川隆一 
#2 公開中|議論と翻訳と傾聴がデータを生かす道|鈴木初実(データアーティスト)
#3 公開中|技術と人間の接点に感動を|村上晋太郎、岸 裕真、西村保彦

Promoted by Dentsu Group Inc. / text by Kiyoto Kuniryo / photographs by Shuji Goto / edit by Akio Takashiro

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