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2022.10.14 16:00

「ストラテジーのデザインから価値をつくりあげる」 〜DXにおけるテクノロジーアーキテクトの重要性を考察する

「DX、DXと叫ばれ、半ばそのワードに息切れ感もありますが、テクノロジーを活用した変革は何もいまに始まった話題ではありません」アビームコンサルティングDigital Technologyビジネスユニット長 執行役員 プリンシパル 一岡敦也は、開口一番、そう切り出した。


テクノロジーを活用した変革の必要性は、何も今に始まった話ではない。既にその時々のテクノロジーを採り入れて、自社の変革をダイナミックに行ってきた企業はある。ただ、そのテクノロジーがこれまで以上にダイナミックに進展していること、それらを上手く取り入れ成長している企業やマーケットがあるのに比して、取り組みが遅れている企業が待ったなしの状況に追い込まれている。その焦燥感が”DXブーム”の真因だろう。

「グローバルでビジネスを展開する欧米企業やアジア企業を始めとする成長著しいマーケットの方々と会話をしていると、『DX』と騒いでいるのは日本ぐらいなのではないかと思えてきます。特に、GAFAをはじめプラットフォーマーの成長が著しい国々は、もともとテクノロジーを活用し価値を創出する文化がありますし、最初からテクノロジーありきでビジネスを創造しており、何か特別なこととして取り組むような話しという印象はありません」と日本の独特の立ち位置を一岡は解説する。

従来の日本企業においては、効率化や現場の利便性を高めることを目的としたシステム化が目的だったためIT部門がその中心を担い、経営からの距離は遠かった。それゆえに経営とテクノロジーに分断が生じているケースが多い。これだけテクノロジーが私たちの生活の中心に置かれる時代になっても、だ。そのような企業体質の改善が半ばの企業は、抜本的な改革がより強く求められている。

「テクノロジーで何かを生み出すという発想が根付いていなかったため、いまになってデジタル化の対応に追われてしまっている。本来であれば、もっと昔から実行しなければならなかったという危機感はもつべきだと考えます」


一岡敦也 アビームコンサルティングDigital Technologyビジネスユニット長 執行役員 プリンシパル

鍵は組織のテクノロジーリテラシー、経営層のテクノロジーへの理解がDX推進のドライバー


そのような中、DXを具体的なテーマに落とし込み変革の道を歩み始めたクライアント企業の事例を一岡は紹介してくれた。

「これからの市場での成長を見据え、複数社を統合したクライアントを担当しました。各社がそれぞれの強みや業務のやりやすさに立脚した業務プロセスやそれを支える独自のシステムを保有していたので、いざ統合しても、そのシナジーが仕組みの問題で発揮できない。必然的に基幹システムを刷新ということになりましたが、この最初のプロジェクトはまったくの失敗に終わりました。好転したのは、経営層の関わり方が大転換した後のことでした」

その転換以降、基幹システム刷新プロジェクトのディスカッションには、CEOをはじめとする経営層が参画するようになった。この企業の経営層はテクノロジーの重要性を非常に理解していたため、この理解がプロジェクトの大きな推進力となったのだ。

「この企業の素晴らしいところは、トップダウンにより役員も含めて全社員に、新しいテクノロジーを使った『ものづくり』の大号令を下し、テクノロジーリテラシーが飛躍的に向上する種を創ったこと。テクノロジーの重要性を頭では理解していても、大事なのは自分たちのビジネスにそれをどう実装するのか。若しくはテクノロジーだからこそ可能になる提供価値を考えること。経営が本腰を入れ意思表示をすると、企業の変革スピードは格段にアップします」

以前の失敗から学び転換を図った点もある。

「当初考えていた基幹システムをビッグバン的に刷新する方法論では、(構想や準備も含め)はるか5年後になってしまう。それでは遅すぎる。そこでバリューチェーン全体を俯瞰した上で、段階的にバリューチェーン改革を進める形を検討し始めて、商材の売れ筋や改革の進めやすさ等から多角的に検討を行い、進め方を大きく転換しました。そのようなアジャイル的なアプローチによって改革は目が覚めるようなスピードで進み始めました」

注力すべきビジネス・ポートフォリオを見極めたうえで、バリューチェーン全体の変革を刻んで行う手法に舵をきり、成功を収めたのだという。バリューチェーン全体を俯瞰し、優先的に改革すべきポイントを見極め、段階的に成功を積み上げる形だ。

さらに当該クライアント企業は組織に関しても、大変革を断行した。全面的にスクラムを導入し、日本企業に見られる縦割り構造の弊害は皆無となり、組織体もこれまでの日本企業にはない特徴が根付いたという。年功序列は過去のもの。30代で部長就任も当たり前。経営トップが経営とテクノロジー融合の重要性を重視した文化(カルチャ―)の醸成に率先して取り組んだ。

各会議には、CEO、CDO、CTOといった経営層であるCxOが参加するケースもあり、情報システム部門、ビジネス部門の社員が自分たちの仕事と経営をアラインさせることができ、『重要なプロジェクトを任されている』と現場のモチベーションも高い。またモチベーションの向上だけではなく、経営の視点も定期的にインプットできることから、自律性の高いチームに繋がる素晴らしい機会となっている。

特に働く価値観が多様化する中、高いモチベーションが得られる、仕事の目的や意義が明確にしやすいなどは、社員のエンゲージメント向上や優秀な人材を惹きつけるという点において、非常に重要なポイントである。やはり、様々な変化に迅速に、そして柔軟に呼応することが競争力の決め手となる時代においては、経営とテクノロジーを融合するカルチャーと、それを実現するためにも、自律性を備えた現場の力を、持続的に醸成する経営環境の構築が非常に重要だろう。まさにデジタル(D)を軸に、組織全体を変革(X:Transformation)した好例ではないだろうか。

スクラム型のコンサルスタイルで戦略的アーキテクチャを全方位型に支援


また企業がこうした変革を断行するなかで、コンサルティング会社の有り様も時代とともに変化しつつあると一岡は考察している。

「以前はお客様自身が課題を設定し、その課題を解決するためにコンサルティングファームが知見を提供してきました。今のように変化のスピードが速く、取り組まなければいけないテーマも複雑多岐に渡る環境下においては、お客様と共に変革テーマを設定していく力や、その複数に渡る領域を一気通貫で、しかも速く結果を出すためにこれまで以上にワンチームでの支援スタイルが求められています」

こうした受発注者の垣根を超えたスクラム型のコンサルスタイルは、これから益々増える上、コンサルティング業界自体には、価値提供の変革を迫る。しかしながら、このスタイルは、アビームの経営理念であるクライアントの「Real Partner®」でありたいという姿勢そのものであり、アビーム自身はこの想いに貫かれた企業運営や支援スタイルを既に確立している。

「最近ではDXを推進するうえでCDOを中心とした新たな推進部隊を立ち上げる企業があり、CDO室に最初から弊社メンバーが参入するケースも増えています。そこでお客様と共に、新しい価値を生み出すイノベーションを企画し、実現に繋げる取り組みをアジャイルに実行していく。またそのようなイノベーション領域においても、これまでの経営、事業を支えてきた経営基盤も併せて進化させていく必要がある……これらを全方位的にカバーできるのは、アビームならではだと思います」

一岡がDXにおける戦略的アーキテクチャのなかで重要視しているのは、end-to-endのバリューチェーンだ。バリューチェーン全体を見渡したうえで、改革すべきテーマをデザインし、それを実現するアーキテクチャを考える。言い換えるとそれが出来なければ、バリューチェーン全体のトランスフォーメーションを持続的に支えるアーキテクチャを構えることができず、先々に繰り返すレガシー化を避けることができないのが実態だという。

こうした際、求められるケイパビリティは、バリューチェーン全体の深いビジネスと業務の理解、そして最新・最適なテクノロジー/アーキテクチャをデザインし、リアライズすることに他ならない。それを実行できるのがアビームだと一岡は自負している。

「各企業において、さまざまな改革テーマを実現するDX、ITプロジェクトが並走しているケースは多々あります。しかし、デザインした改革テーマ/プロジェクトを各社のバリューチェーン上にマッピングした際、それぞれの改革テーマ/プロジェクトが繋がっていない、面になっていないケースはあると思います。例えば、レガシー化した基幹システムの刷新プロジェクトと、DXの名のもとの数々のPOCやプロジェクト、それらをバリューチェーン上で俯瞰して見た場合、各種テーマ/プロジェクトの整合性がとれているのか、また合理的に進行しているか、各種改革テーマの鮮度が落ちていないか、そして、それらを実現するテクノロジー/アーキテクチャ戦略が考えられているか。いま一度、全体を俯瞰して点検したほうが良いでしょう。

さらには、そのような定期的な点検を行える、経営を巻き込んだ仕組みがあることは非常に有効だと思います。そのような取り組みを継続的に行うことで、これからの企業の持続的な成長、そしてそれを支える戦略的なアーキテクチャにたどり着くことができるのだと思います」

アビームで実施したサーベイによると、現在企業のDXには顕著な傾向が見られるという。これによると、どの企業も「DXに取り組んでいるか」という設問について、「立案まで進んでいる」「一定の取り組みは進めている」という回答がもっとも多く、「戦略的にアーキテクチャをデザインしていますか」については、「取り組んでいない」が、もっとも多い結果となっていたのだという。

一岡は、これを「DXのテーマは理解しているが、実現するための全体像、またロードマップが描けておらず、フィジビリティがない。また今騒がれているレガシー化の壁を繰り返す」と分析。DXのお題目を設定するだけでなく、こうした企業のアーキテクチャをしっかりデザイン、リアライズし、持続的な取り組みとして寄り添うことができるのが、アビームの価値だと考えている。



DXはテクノロジーを活用し、これからを生き抜く経営に進化するためのきっかけの一つ


「産業構造も含めビジネス環境はこれからもますます形を変えていきます。そうしたなかで、DXを実行するのであれば、持続的な成長を促せる経営をもっと重要視しなければなりません。そのためには、環境の変化をデータで察知し、その変化に合わせた意思決定や適応を迅速に行う。そして、変化への適応は、具体的なテーマを絞り込み優先順位をつける、そのうえで、自社ができること、できないことを棲み分け、企業内外のリソースを再構築することが求められます。それが出来なければ、生き抜くことが難しい環境になってきていると思います。そのためには、まず、様々なテクノロジーを活用し、企業の成長を支える仕組みをアップデートし続け、持続的な経営の進化に繋げなければなりません。DXは、ダイナミックに変化し続ける環境下を生き抜き、企業が持続的な成長を遂げるためのきっかけでしかないと思っています」

最近は「メタバース」、「Web3」のような新しいデジタルテクノロジーのキーワードを入口としたお客様からのご相談も多い。中にはキーワードが先行し、目的や導き出したい結果が検討できていないケースも多い。こうした新しい領域においても、お客様と共にまずはどのような目的で何を実現したいのか、創出したい新たな価値とは何なのかを徹底的に議論する。その上で、それらを実現する戦略的なアーキテクチャを構想し、テクノロジーをデザインし、リアライズする。洞察・戦略・アクションを一気通貫で支援できることこそが、「私たちの価値」と一岡は胸をはる。

「環境変化が益々激しくなる中、持続的な成長を支える仕組みを創ることは急務であり、多くの企業が取組みをされていると思います。これからさらにスピード感ある成長を実現していくためには、自らの筋肉質化だけでなく、他の企業や組織が持つ価値を掛け合わせて、新しい価値、成長機会を創るケースが益々増えるでしょう。そのような中で、私自身はデジタルテクノロジー部門をリードしているので、我々自身がデジタルテクノロジー文脈で提供できる価値を磨き続けるともに、企業や社会のより一層の成長に向け、伴走できるように進化していきたいと思います。」

テクノロジー・アーキテクチャーの言葉は、どこまでも頼もしかった。

Promoted by アビームコンサルティング / edit by Akio Takashiro / text by Yuji Matznaga / photographs by Shuji Goto