かな文を打つと、自動的に漢字とかなの入り混じった文章に変換されてディスプレイへ映し出されるという、今となっては当たり前となっている仕組みが、当時はかなり画期的だったのです。発売時の価格はなんと630万円、大きさは事務机ほどあり、重さが220kgもあったというから驚きです。
JW-10はキーボード、プリンター、ディスプレイ、記憶装置が一体化された機器で、すなわち入力、出力、校正・編集、記憶(保存)が一台でできるものでした。
それまで日本語での文字入力として使われていた和文タイプライターは、一度作成した文章を直す場合には、すべてタイプをやり直す必要がありました。しかしJW-10を使えば、一度書いた文に文字を挿入したり、削除をしたりと手を加えることができたのです。また、前に作った文章を記憶装置からディスプレイへ呼び出し、再利用、再編集できるというのも当時画期的でした。
1980年代になると家電メーカー各社がワープロ専用機に参入。有名人を使ったCMもあるほど、人気の家電となりました。その後日本語ワープロは小型化、低価格化が飛躍的に進み、オフィスだけでなく一般家庭まで幅広く浸透しますが、1990年代半ばに同様の機能を持った低価格なパソコンが普及してきたことで2000年以降に姿を消してしまったのです。
しかし、JW-10で培われた豊かなかな漢字変換技術、文章記憶と豊富な編集機能は日本のIT分野の発展に貢献し、現在のパソコンやスマートフォンのなかに今も息づいています。
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