激変するスキーリゾート 安比高原のラグジュアリーホテルに潜入

ANAインターコンチネンタル安比高原リゾートのクラブラウンジ


「ANAインターコンチネンタル安比高原リゾート」の開業は2022年2月。客室は全38室で、26室のプレミアムツイン、5室のクラシックツイン、3室のプレミアムスイートなど7タイプを備える。デザインは「安比の自然との一体感」をコンセプトに、四季折々の安比の自然を象徴するインテリアを配した。


プレミアムツイン(68.05~75.85平米)

筆者が宿泊した1階のプレミアムツインには、プライベートガーデンがついていた。檜風呂にゆったりと浸かり、バスローブを羽織ってガーデンへ出て、ハンモック椅子で飲み物をいただきながらゆらゆら揺れているのは、まさに至福の時間だ。


プレミアムツインのビューバス。風呂桶は檜で、湯を注ぐとよい香りが充満する

食もこの地域ならでは。ディナー、ランチ、朝食ブッフェを提供する和食・フレンチ「白露/SHIRATSUYU」では、陸奥の特選食材や三陸の魚介類などを使った斬新なメニューを存分に味わえる。あらためて東北の食材の豊富さ、美味に唸る2日間だった。


ランチメニューの人気の一品、「いわて牛 カツサンド(フィレ200g)」

安比の自然を学び楽しむアクティビティ


安比高原といえばウインタースポーツの盛んな地域。特に近年、“奇跡のシルキースノー”と名づけられた雪質は、訪れたスキーヤーやスノーボーダーを虜にするという。

しかし、楽しめるのは冬だけはない。ゴルフやテニス、サイクリングなどのスポーツアクティビティや、ホタル鑑賞会、ゴンドラ空中散歩、紅葉狩り、スノーシューツアー、雪の回廊やドラゴンアイツアーに、豆腐づくり体験やそば打ち体験と、実にさまざまなアクティビティが用意されている。

今回は、ホテルに隣接する「イーハトーヴォ安比高原自然学校」主催の「新緑の安比のブナ2次林と中のまきばツアー」を紹介したい。


安比高原ブナ二次林を散策。森の生態に詳しいガイドが道案内してくれる

ホテルから車で約15分、「安比高原ブナ二次林」に到着。イーハトーヴォ安比高原自然学校のガイドが先導し、ブナ二次林の成り立ちや歴史について話し、さらに山菜の見つけ方、採り方を教えてくれた。

ブナ林はひんやりとして気持ちがいい。高い木々が鬱蒼と茂っているのも理由だが、ブナの木は大地から水を吸い上げ、大気を放っている。いわば天然のクーラーなのだ。ガイドに言われて幹に触ると、驚くほど冷たかった。

よく見ると、大きく裂けてしまった幹もある(そちらは触っても冷たくない)。木に含まれる水分が厳しい冷え込みによって凍りつき、パーンという大きな乾いた音を立てて裂けることがあるそうだ。「凍裂(とうれつ)」というらしい。


若葉と花を食べるために上り下りしたツキノワグマの爪痕が刻まれた幹

2時間の散策を終えてホテルに戻ると、レストランスタッフの好意でビニール袋いっぱいになったコシアブラ、ミズナラ、フキノトウなどの山菜が天ぷらにされた。自分で採ったということもあり、旨さひとしおだった。

「安比」の語源は、アイヌ語の「安住の地」だという。確かに、いつでも懐深く迎えてくれる安心感、再訪を待ち望む気持ちが、ここにはあった。

文=堀 香織 写真=yOU(河﨑夕子)

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