2020年11月、「観光」「教育」「医療(健康)」の3つの産業を軸に、定住者1万人のグローバルな街づくりを目指す「安比バレー構想プロジェクト」が始動。この8月には創立450年の名門、イギリスの「ハロウインターナショナルスクール」も開校した。
今回は「観光」の目玉、北東北では初のラグジュアリーホテル「ANAインターコンチネンタル安比高原リゾート」を紹介する。
安比高原の自然をモチーフにしたアート
ホテルに足を踏み入れた瞬間からチェックアウトまでの滞在がどのような時間になるのか、アプローチでの高揚感がそれをすでに物語る気がする。
ANAインターコンチネンタル安比高原リゾートは、その意味で満点だった。深い森を彷彿とさせる陰影に包まれたアプローチが前方に伸び、進むがごとに前方のきらめくエメラルドブルーに吸い寄せられていく。
闇から光へ。出迎えてくれたのは「ドラゴンアイ」という作品だった。
美術家・前田耕による「ドラゴンアイ」。奥深いブルーと真白な雪、溶けて露呈した土を表現した
モチーフとなったのは、秋田県と岩手県にまたがる八幡平(はちまんたい)の、山頂近くの鏡沼。
中央部分の雪を囲むように解けた水がドーナツ状にたまり、巨大な龍の目玉のように見えることから、2017年に「八幡平ドラゴンアイ」と名付けられた。5月下旬から6月上旬の2週間のみ見られる神秘的な光景で、ホテルではオプショナルツアーも用意している。
アプローチから続くクラブラウンジには自然光が燦々と降り注いでいた。ここは常駐する専任コンシェルジュに滞在時の要望を相談できるほか、アフタヌーンティーやイブニングカクテルも楽しめる、いわばホテルの“ハブ”であり、居心地の良さは格別。読書したり、飲食をしたり、テラス席で刻々と変化する周囲の風景を楽しんだりと、みな思い思いに過ごしていた。
午後も夜も人であふれるクラブラウンジ。ここではカナッペやシャンパン等のフリーフローを楽しめる
その広々とした空間を引き締めるのが、壁の柱のオブジェ「杢(もく)」。津軽峠の樹齢400年のブナ林に立つ「マザーツリー」と、松川渓谷で見られる柱状の玄武岩を重ね合わせて制作されたという。
エントランスやレストランを含め、ホテル内のアート作品はすべて、周辺の土地や自然と関連がある。それがホテルの調和に一役買っているように感じた。