ビジネス

2015.06.06 08:00

リストから永遠の別れを告げた富豪たち・バレンタインデーに旅立った“チョコレートの聖人”

製菓会社フェレロ元社長、故・ミケーレ・フェレロ氏(写真右)



2015年2月14日、聖バレンタインデー。日本がチョコレート商戦で賑わうなか、ひとりのイタリア人がこの世を去った。製菓企業「フェレロ」の元社長で、昨年の「ビリオネアランキング」で22位に入ったミケーレ・フェレロ(写真右)だ。享年89歳だった。

同社は、母が営んでいた菓子店に由来する。第2次大戦中、カカオが割当制になったとき、困り果てた母のために父のピエトロが、代用品として「ヌテラ」というヘーゼルナッツペーストを開発したことかきっかけで生まれた。

ミケーレは、1950年に母から菓子店を引き継ぐや、海外での販売を始めた。そして、海外土産としても人気の高い「フェレロ・ロシェ」や、食玩が人気の卵型チョコレート「キンダーサプライズ」など、息の長いヒット商品を世に送り出した。特に、看板商品のヌテラは世界160カ国で売られるほどに広がった。今日栽培されるヘーゼルナッツの25%がヌテラになるほどだ。

一見、順調な人生だが、2011年には後継者と目されていた長男のピエトロを亡くすという試練も味わっている。まさにチョコレートのように、甘いながらもほろ苦さが感じられる人生だった。

フォーブス ジャパン編集部=文

この記事は 「Forbes JAPAN No.12 2015年7月号(2015/05/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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