ブルーライトが思春期の始まりを早める? 研究結果が示唆

Getty Images

ブルーライトを浴びていると、思春期が早くくる──?

そう聞いても、答えを確かめるために何度もスマートフォンを使って調べるのは、やめた方がいいのかもしれない。

これまでの研究によって、ブルーライトを発するモバイル機器の使用がもたらす潜在的なリスクについて、ますます多くのことが明らかになりつつある。先ごろ開催された欧州小児内分泌学会の年次学術集会で発表された研究結果は、ブルーライトの照射と女子が思春期に入る時期の変化の関連性を示唆するものだ。

トルコのアンカラにあるガーズィ大学医学部の研究チームが行った実験によると、ブルーライトの照射はメラトニン(睡眠促進ホルモンとも呼ばれる)の分泌量を減少させ、2種類の女性ホルモン(エストラジオールと黄体形成ホルモン)の分泌量を増加させることに関連しているとみられる。さらに、(思春期に入ったことを示す)卵巣組織の変化との関連性もみられたという。

ただし、この研究は人間ではなく、18匹の“未成熟な”(生後21日目の)メスのラットを3つのグループに分けて行われたものだ。6匹は12時間ずつ光が当たる状態と暗い状態を繰り返す“自然な”サイクルに近い状態に置き、別の6匹は6時間ブルーライトを浴びるようにした。3つ目のグループには、さらに長い12時間、ブルーライトを照射した。

それぞれのグループのラットが思春期に入ったとみられるのは平均で、自然なサイクルで過ごしたグループが38日目、ブルーライトを浴びた時間が6時間のグループが32日目、12時間のグループが30日目だった。

また、研究チームによると、少なくとも6時間ブルーライトを浴びていたラットは浴びていないラットと比べ、黄体形成ホルモンとエストラジオールの分泌量が有意に増加していたという。そして、ブルーライトの照射時間が長いほど、メラトニンの分泌量は減少していた。

そのほか、ブルーライトの照射時間が長いほど、卵巣に血管の拡張や水分の貯留など、炎症の兆候が見られた。これは、ラットが実際に思春期に入っていることを示す証拠だという。さらに、ブルーライトを照射したラットには、多嚢胞性卵巣症候群(PCO)様の変化(PCO-like)も見られた。
次ページ > 実験の対象はあくまで「ラット」だが──

編集=木内涼子

ForbesBrandVoice

人気記事