米SNSで流行中の「風邪薬チキン」「抗ヒスタミン剤チャレンジ」の危険性

Getty Images

もしあなたが風邪薬のNyQuil(ナイキル)でチキンを調理することを考えているのなら、止めてほしい。絶対に。幻覚を見るために抗ヒスタミン薬のBenadryl (ベナドリル)を大量に飲むのも同様だ。どちらも良くない考えだ。誰かがInstagram(インスタグラム)やTikTok(ティックトック)やFacebook(フェイスブック)といったのSNSで何をいったとしてもだ。

しかし、どうやらそれらを実際に試す人はいたようで、米国食品医薬品局(FDA)はこのような行為の危険性に関する警告を出した。発表文には以下の動画もある。



警告の内容はOTC(店頭販売)医薬品の誤用、乱用全般に関するものだ。OTC薬品は医師の処方箋を必要としないため、自宅やアパート、別荘、隠れ家などあらゆる居住場所に置かれている。

OTC医薬品には、非常に具体的な症状と用法の注意が書かれている。例えば、Vicks(ヴィックス)のNyQuil Cough, Cold, and Flu(ナイキル・咳、風邪、インフルエンザ)には、アセトアミノフェン、デキストロメトルファンおよびドキシラミンといった成分が含まれており、咳、風邪、インフルエンザのために使われるべきものだ。名前は断じて「NyQuil Cook Your Chicken(ナイキルチキン調理用)」ではない。そして2022年1月16日に私がフォーブスに書いたように、SNSのビデオには人々がいろいろなかたちのチキンをいろいろな配合のナイキルの中で煮込んでいるところが映し出され、「NyQuil Chicken Challenge(ナイキルチキン・チャレンジ)」や「Sleepy Chicken Challenge(眠いチキン・チャレンジ)」などと呼ばれている。

人々はこのチキンSNSチャレンジでナイキルを煮詰めて、薬品から水蒸気を飛ばして濃縮し、特性を変えているかもしれない。未知の方法によって変化させられた濃縮薬品がいったい何を起こすのだろうか。仮にそのチキンを食べず、その結果、薬も口にしなかったとしても、あなたは事実上ナイキルアロマセラピーを行っていることになる、なぜなら空気中のナイキル蒸気を吸い込んでしまうから。これはどう考えても良いことではない。ナイキルのラベルには「吸い込みなさい」とも「好きなだけ服用して、量は記録しないでください」とも書かれててない。

同様に、2020年にTikTokに出回った「Benadryl Challenge(ベナドリルチャレンジ)」は、人々がジフェンヒドラミン(ベナドリルの一般名)を大量に飲むところを映し、飲んだ量は多くの場合ラベルに記載された許容量を大きく超えていた。幻覚を起こすために何かをするなど、まったくもって良い考えではない。しかも、ジフェンヒドラミンで起きる幻覚は、アボカドトーストを食べた後、世界の頂点にいることを想像するのと同じではない。緊急事態だ。実際、フォーブスのビクトリア・フォスターはベナドリルチャレンジに参加した10代の死を報じている。
次ページ > OTC医薬品を巡るSNSチャレンジはこれが最後ではないだろう

翻訳=高橋信夫

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事