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2022.09.23

Twitchが人気ストリーマーの収益取り分カットを発表、全実況主の怒りを買う

Getty Images

ライブストリーミング配信サービスのTwitchは米国時間9月20日にプラットフォーム上で少なくともいくつかのギャンブルとギャンブル提携を禁止し、意図的に勝利を収めた。しかしそれは明らかに、翌日発表された悪いニュースの前触れだった。というのも、Twitchは稼ぎ頭のストリーマーの収益取り分カットを発表した。さほど稼いでいないストリーマー向けには何も改善はない。

Twitchは21日、これまで70:30の割合でサブスク収益配分を受けてきた「プレミアム」クリエイターの収益が10万ドル(約1440万円)に達すれば、その配分割合の適用を制限すると発表した。10万ドルを超えるとプレミアムではない通常のTwitchストリーマーの標準的な配分割合である50:50が適用される。この変更は来年6月1日からで、現行の契約に変更はない。

Twitchは広告収入配分の引き上げに言及することで収益配分見直しを正当化しようとしている。この変更が上位エリート層のストリーマーに影響するとしても、みんなが怒っている理由がある。

・トップクラスのストリーマーはTwitchの成功に貢献したと感じており(Twitchもブログで認めている)、現契約が終了すれば70:30の分配を行うYouTubeのようなライバルに移行する可能性がある

・スーパースターではない普通のストリーマーは、逆に50:50の分配が全員のために70:30になることを望んでおり、最も成功しているクリエイターに「課税」してもポジティブな変化がなく、何の役にも立っていない

・広告が視聴者を遠ざけ、最近すでにTwitchで広告が積極的に展開されていることを考えると、さらなる広告への注力はすべてのストリーマーを動揺させている。これ以上の広告への傾倒に喜ぶ人は誰もいない

・みんなの頭には1兆ドル(約145兆円)の巨大企業であるAmazon(アマゾン)がTwitchを所有しているという事実が絶えずあり、ストリーマーの収益取り分カットは不必要に感じられる。たとえ、Twitch自体がもっと利益を上げる必要があり、単にAmazonから援助されているだけではダメだという上からの命令があるのは間違いないとしてもだ

ストリーミング市場で大きなシェアを持つTwitchはこうした変更を命じることができる立場にある。変更の理由としてビデオホスティング費用を挙げているが、変更による長期的な影響を確かめるのは難しい。YouTubeが70:30の割合を維持すれば、ストリーマーがますますYouTubeに向かうのは間違いない。しかし、Microsoft(マイクロソフト)が運営していたMixer(ミクサー)が閉鎖し、Facebook GamingはTwitchやYouTubeとの競争に苦戦しているため、確かにこの分野の競争は比較的少ない。



Twitchの新たな発表や変更はどれも悪い方向に向かっているように感じられ、多くの人がTwitchの方針に辟易するのも無理はない。Twitchに関するニュースはよくないものが多く、ちょうどこの原稿を書いているときも、子どもを狙う変質者がどのようにTwitchを使って子どもを追跡していたかという記事が米ブルームバーグから配信された。

今回の収益配分の割合変更で最も影響を受けるTwitchストリーマーの多くはまだ契約中である可能性が高く、どれだけのストリーマーが離脱するかはしばらく待つ必要があるだろう。Twitchがどこまで視聴者を追い求めるかは不明だが、YouTubeのようなライバルも70:30という割合を永遠に維持するかも同様に不明だ。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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