不倫に「感染」しないための新たな心理学的研究

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Archives of Sexual Behaviorに掲載された最新研究は、 別の恋愛対象との関係を考えるように人を仕向ける環境の力に焦点を当てている。

「不倫が許されるという印象を与える仲間内の環境は、人を魅力的な別の相手になびかせることがあります。そして、他の人が不倫していると知ることで、自身も不倫をしようと考えるときの安心感が高まります」とイスラエルのBaruch Ivcher School of Psychology(バルク・イブチャー心理学スクール)の教職員で、論文の主著者である心理学者、グリット・バーンバウムはいう。

「もちろん、浮気が蔓延している環境にいる人が誰でも不貞を働くわけではありません」とバーンバウムはいう。「それでも元々不貞に対する耐性の弱い人や浮気の機会があれば、そのような環境が倫理観と誘惑という矛盾を浮気側に傾かせるひと押しになることがあります」

浮気という現象の理解を深めるために、浮気の話や事例に接することが現在のパートナーへの忠誠心を弱め、別の相手への思いを強めることがあるかどうかを調査した。

研究者らは3つの実験の中で、恋愛関係がある被験者に、他人の不貞行為に関する調査結果を見せた。その後、被験者が魅力的な別の相手のことややり取りするところを思い浮かべているときの反応を記録した。

実験結果は、他人の不誠実な振る舞いや不貞行為を見せられたあと、被験者は現在の恋愛関係に対する忠誠度が低くなり、別のパートナーに対する欲求の高まりを経験したことを示した。

「浮気の蔓延を助長するような環境は、人々の浮気に対する脆弱性を高め、ときには明確に『感染』させることもあります」とバーンバウムはいう。

そのため不誠実の基準が高いという認識は、人は不品行は不道徳ではないと正当化できるようになり、その結果として道徳的価値を維持するという長期的目標と目先の誘惑との間に生じる道徳的混乱を解消させる後押しをする。
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翻訳=高橋信夫

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