ツイッター買収劇の犠牲者はイーロン・マスクではない、私たちユーザーだ

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イーロン・マスクは、私たち全員が彼に注目するように仕向ける達人だ。これは皮肉にも、最近のTwitter(ツイッター)やすべてのソーシャルメディアチャンネルと相性が良い。私たちはみんな、小さなメガホンを持っていて、数百人のフォロワーに読んでもらうために自分の意見を叫んでいるのだ。

マスクは、たまたま大きなメガホンを持っているだけだ。彼は最近、ツイッターがいかに本来の姿とかけ離れているかを訴えている。ツイッターの幹部は、マスクが買収を完了させる義務があるはずだと文句をいっている。内部告発者は、ツイッターがいかに虚偽の主張をし、公衆を欺いたかについて不満を漏らしている。

有名なテック系億万長者は現在、このシナリオを変えようとしており、新しいオーナーとして直面するであろう問題への注意を喚起するために「Cyberwhistle(サイバーホイッスル)」まで作っているところだ(悲しいことに、この製品は現在品切れ中である)。

どんな大きなニュースでも、私たちは被害者と加害者を探したくなるものだ。その方が楽だからだ。あなたはイーロンを支持するかもしれないし、ツイッターを支持するかもしれないし、あるいは同時に問題の両面を見ることができるかもしれない。結局のところ、このツイッター買収劇の主要人物は誰も、技術的な観点からは被害を受けているわけではないのだ。

本当の被害者はユーザーなのだ。

これが核心的な問題である。あるブロガーが最近指摘したように、我々はユーザーのマネタイズに本当に対処する必要がある。私たちはこれまで、ユーザーの定義を間違えていた。スパムボットやその他の自動化されたシステムが、「ほぼ人間らしく」振る舞うことがあるのとは対照的に、私たちはユーザーとは「人間」のことだと考えている。また、プラットフォーム上で活動している人たちをユーザーと定義することもできない。ソーシャルメディアのビジネスモデルは、もっと重要なものに依存している。それは、ユーザーが実際に広告を見て、広告をクリックし、商品を購入することだ。つまり、ソーシャルメディアにおける真のユーザーとは、人間であること、プラットフォーム上でアクティブであること、もしくは広告を目にするということだけではダメなのだ。

お金を払ってくれる客でなければならない。何かを買わなければならないのだ。
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編集=Akihito Mizukoshi

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