会員数840万人を超えるこのサービスは、「アマゾン ジャパン」での偶然の出会いから生まれたといってもいい。Peatixのボードメンバーは、アマゾン立ち上げ直後からの数年間、ともに働いた同僚であり、過酷なアマゾンでの環境下、仕事の合間にとことん遊んだ究極の飲み仲間たちでもあるのだ。
リアルイベントが激減したコロナ禍は、Peatixにとってどんな時期だったのか。他のチケット会社との圧倒的な違いは何か。そして、「僚友とのビジネス」の醍醐味とは。原田卓CEO、藤田祐司取締役CMO、岩井直文CSO、吉田健史VP of Solution Partner & BizDevに聞いた。
前編: 文書はいったん「英語に落とし込む」 国境を超えたPeatixの原点
「セレンディピティ」の魅力は代替され得ない
──Peatixはプラットフォーマーのみならず、イベントの企画もされていますよね?
吉田:自社ブランドのイベントを国内外で継続的に主催しています。以前はコミュニティを作りたいお客様にイベント企画の提供もしていたのですが、現在は抑えています。
岩井:イベントをやりたい人全員にノウハウがあるわけではありませんから、企画の提供について問い合わせを受けることは今でも多いですし、そういったコミュニティを応援するための施策は常に考えています。
とくに企業の方はたいてい第一声、「イベントってお金がかかるんでしょ」と言われるんですよ。オフラインのイベントだったら集客だけではなく場所や装飾の問題もあるのは事実です。ただ、今はオンラインを活用してクリエイティブにやれば、お金をかけずにすごくいいことができる。これからは、われわれや、主催者のみなさんのノウハウを将来のイベント開催に提供できるんじゃないかと思っています。
岩井直文代表取締役
──コロナ禍で人が集まれなくなった事態はPeatixにとってピンチでしたか、チャンスでしたか?
原田:一瞬ピンチで、結果、超チャンスでした。
藤田:2020年4月頭には、イベントの延期とキャンセルが相次ぎました。そのときはどうなるか不透明でしたが、オンラインに注力したことで、イベントやユーザーの数はコロナ禍前よりも増えました。とくに日本ではオンラインイベントがすごく伸びた。オンラインの可能性が加わったことで、イベント文化自体に広がりが生じた。
岩井:ピンチだった期間は1カ月半ぐらいです。まずはオンラインライブの配信対応を2週間程度で終えて、その効果が1〜2カ月で目に見えてきて、これは大丈夫だな、と確信した。