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2022.09.25 09:00

薬価つり上げで悪評の元製薬幹部、ソーシャルメディアで「再始動」

マーティン・シュクレリ(Photo by Drew Angerer/Getty Images)

マーティン・シュクレリ(Photo by Drew Angerer/Getty Images)

米国で2017年に証券詐欺で有罪判決を受け、今年5月に出所した元ヘッジファンドマネジャーのマーティン・シュクレリ(39)が、ソーシャルメディアで大々的な「復活」を遂げている。インスタグラムやユーチューブなどにアカウントを開設して個人投資家に投資アドバイスなどを行っており、古巣のニューヨークに戻る機会もうかがっているもようだ。

「2週間後に足首の監視装置がとれたら、ブルックリンかクイーンズ、ロングアイランドあたりに引っ越すつもりだよ」。シュクレリは今月1日、TikTok(ティックトック)に投稿した動画でそう話した。もともと居住先の「第一希望」はマンハッタンだったが、仮釈放の条件で許可されなかったという。

シュクレリは2015年、最高経営責任者(CEO)を務めていた製薬企業のチューリング・ファーマシューティカルズが、エイズウイルス(HIV)感染者らが必要とする抗寄生虫薬「ダラプリム」の販売権を買い取ったあと、薬価を1錠13.5ドルから一気に750ドルに引き上げたことで悪評を買い、「ファーマ・ブロ」というあだ名もつけられた。

その後、証券詐欺罪に問われて有罪となり、4年間刑期を務めて5月上旬に釈放された。ほどなくしてオンラインで個人投資家らと交流するようになり、ウォール街の世界に戻ってきた。

これまでにインスタグラムやユーチューブ、TikTok、ツイッター、フェイスブック、Substack(サブスタック)、Twitch(ツイッチ)、Discord(ディスコード)、OnlyFans(オンリーファンズ)にアカウントを開設。投資アドバイスからトレーディングのライブ配信、私物のオークションまで、さまざまなコンテンツを配信している。

AMCなどの「ミーム(はやり)株」やビットコインをはじめとする仮想通貨をめぐって、オンライン掲示板の「レディット」などに集う個人投資家と談議したり、自身のトレーディングポートフォリオをつくったりもしている。

ニューヨークへの引っ越し計画については、あるソーシャルメディアで「あなたがもし明るい建物に住んでいて、そこにファーマ・ブロがいてほしいと思うなら知らせてほしい。その建物の部屋を借りに行くから」「きっと、どんちゃん騒ぎになるだろうね。(中略)でも景色のすごくいい最高の建物じゃないといけないな」などと述べている。

シュクレリは有罪判決後、公開企業の幹部に就くことを生涯にわたって禁止され、製薬業界からも永久追放されている。また、ダラプリムの一件で複数の州から独占禁止法(反トラスト法)違反で訴えを起こされており、今年、制裁金として計6460万ドル(約93億円)の支払いを連邦判事から命じられている。

シュクレリは7月に「Druglike」というWeb3のプラットフォームを設け、そこで使う仮想通貨として「Martin Shkreli Inu」を立ち上げたが、この仮想通貨は先月、一時90%暴落した。シュクレリはハッキングの被害に遭ったと説明している。

forbes.com 原文

編集=江戸伸禎

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