「2週間後に足首の監視装置がとれたら、ブルックリンかクイーンズ、ロングアイランドあたりに引っ越すつもりだよ」。シュクレリは今月1日、TikTok(ティックトック)に投稿した動画でそう話した。もともと居住先の「第一希望」はマンハッタンだったが、仮釈放の条件で許可されなかったという。
シュクレリは2015年、最高経営責任者(CEO)を務めていた製薬企業のチューリング・ファーマシューティカルズが、エイズウイルス(HIV)感染者らが必要とする抗寄生虫薬「ダラプリム」の販売権を買い取ったあと、薬価を1錠13.5ドルから一気に750ドルに引き上げたことで悪評を買い、「ファーマ・ブロ」というあだ名もつけられた。
その後、証券詐欺罪に問われて有罪となり、4年間刑期を務めて5月上旬に釈放された。ほどなくしてオンラインで個人投資家らと交流するようになり、ウォール街の世界に戻ってきた。
これまでにインスタグラムやユーチューブ、TikTok、ツイッター、フェイスブック、Substack(サブスタック)、Twitch(ツイッチ)、Discord(ディスコード)、OnlyFans(オンリーファンズ)にアカウントを開設。投資アドバイスからトレーディングのライブ配信、私物のオークションまで、さまざまなコンテンツを配信している。
AMCなどの「ミーム(はやり)株」やビットコインをはじめとする仮想通貨をめぐって、オンライン掲示板の「レディット」などに集う個人投資家と談議したり、自身のトレーディングポートフォリオをつくったりもしている。
ニューヨークへの引っ越し計画については、あるソーシャルメディアで「あなたがもし明るい建物に住んでいて、そこにファーマ・ブロがいてほしいと思うなら知らせてほしい。その建物の部屋を借りに行くから」「きっと、どんちゃん騒ぎになるだろうね。(中略)でも景色のすごくいい最高の建物じゃないといけないな」などと述べている。
シュクレリは有罪判決後、公開企業の幹部に就くことを生涯にわたって禁止され、製薬業界からも永久追放されている。また、ダラプリムの一件で複数の州から独占禁止法(反トラスト法)違反で訴えを起こされており、今年、制裁金として計6460万ドル(約93億円)の支払いを連邦判事から命じられている。
シュクレリは7月に「Druglike」というWeb3のプラットフォームを設け、そこで使う仮想通貨として「Martin Shkreli Inu」を立ち上げたが、この仮想通貨は先月、一時90%暴落した。シュクレリはハッキングの被害に遭ったと説明している。
(forbes.com 原文)