現在32歳のヤンによれば、20代のころは、「食をめぐる個人的な悩みと健康な食生活のあいだ」で揺れていたという。常に「何かを渇望していました。食べているときには罪悪感を抱き、食べていないときにはみじめな気持ちになっていました」とヤンは話す。
ペンシルベニア大学ウォートン・スクールで経営戦略・起業のMBA取得をめざして勉強し、卒業を目前にしていた2020年、ヤンはフードテクノロジーを学び、精製炭水化物に注目。そして、ベーグルの改良が人生の目標のひとつになるだろうと確信した。
ベーグルは、「信じられないほど不健康で、精製された炭水化物と糖がぎっしり詰まっています」とヤンは述べる。ヤンの説明によれば、たいていのベーグルにたっぷり含まれている精製炭水化物は、世界の肥満の主因になっているという。
ヤンは、ヴァーソ・キャピタル(Verso Capital)主導のプレ・シードラウンドで120万ドルを調達し、ベター・ベーグルを販売する企業「ベターブランド」を創業した。
通常のベーグルの場合、カロリーはひとつあたり225~250kcalだが、ベター・ベーグルのカロリーは160~180kcalだ。ネットカーボ(正味炭水化物)は、一般的なベーグルが50gを超えるのに対し、ベター・ベーグルでは5gにとどまっている。また、繊維とたんぱく質が多いため、「病気との闘いに役立つ免疫力をつくる」効果もあるとヤンは指摘する。
カリフォルニア州サンタモニカを拠点とするベターブランドは、2021年6月22日にオンライン(www.eatbetter.com)で事業を開始した。消費者のフィードバックを集めて、サプライチェーンの運営をテストする目的だった。同社のベーグルは、2カ月のあいだに二度完売している。