米国で麻痺を起こすウイルスへの感染が増加、その症状と予防策

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汚れた手で目や鼻、口を触らないようにすることも大事だ。そういった体の粘膜面は、ウイルスにとって手っ取り早い感染ルートとなる。コップや食器などの共有も避けよう。

咳やくしゃみが出るときは、ティッシュや袖で口元や鼻を覆い、すぐに手を洗うか、除菌剤で消毒すること。

ドアの取っ手など、人がよく触るものの表面は、頻繁に殺菌しよう。公共の場で蛇口を触ったりドアを開けたりするときには、ペーパータオルを使うと、なおいい。そうした対策をとると、病気になる頻度がとても減ることに驚くはずだ。

受けられる予防接種をすべて万全に受けておくことは不可欠だ。子どものときに受けた予防接種も、新型コロナウイルスの感染拡大が始まって以降、多くが効果を失っている。非常に重要なのはポリオの予防接種だ。麻しん(はしか)も、多くの地域で感染が急増しているが、命にかかわる病気だ。

残念ながら、エンテロウイルスのワクチンは存在しないようだ。米コロンビア大学のウイルス学者ビンセント・ラカニエロ(Vincent Racaniello)はこう話す。

「エンテロウイルスD68が話題になっているが、体の麻痺を引き起こしうるエンテロウイルスは他にもさまざまな種類がある。他の国々でも同様で、アジアにはエンテロウイルス71(EV71)があり、欧州にも別のエンテロウイルスが存在する。エンテロウイルスは1種類ではなく、それぞれ異なっているので、ひとつのワクチンで対処することはできない」

また、筋力低下は急激に起こるため、いったん麻痺してしまったら、薬が効かない可能性がある。抗ウイルス薬やモノクローナル抗体はエンテロウイルスには効かない、とラカニエロは考えている。

となると、頼りになるのは公衆衛生措置と常識的な対策ということになるが、これらはたいてい、不十分なままのようだ。

forbes.com 原文

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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