「訳あり食材」に特化したデリバリーのユニコーンMisfits Marketの躍進

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農家から見た目が理由で通常の店に出荷できない農産物を引き取り、割引価格で販売するD2C型のEコマース・プラットフォームの「ミスフィット・マーケット(Misfits Market)」は昨年、評価額20億ドルで2億ドル(約286億円)を調達し、ユニコーンの仲間入りを果たした。

同社は9月7日、競合の「インパーフェクト・フーズ(Imperfect Foods)」を株式取引で買収する計画を発表した。買収金額は明かされていない。

ミスフィット社は、食品廃棄物をなくすという共通の目標を持つインパーフェクト社と合併することで、今年後半に10億ドル近い収益を上げることを見込んでいる。同社の創業者でCEOのアビ・ラメシュ(Abhi Ramesh)は、2024年までに黒字化を達成すると述べている。

創業4年のミスフィット社は、見た目が不揃いな野菜に加え、余剰品やラベル違いのアイテム、消費期限が迫った食料品をなどを48州の消費者に約40%の割引価格でダイレクト販売している。同社の昨年末から2022年第1四半期までの売上と顧客数は50%近く増加した。ラメッシュは2020年にフォーブスの「30 アンダー30」の社会起業家部門に選出されていた。

インパーフェクト社の共同創業者のベンジャミン・チェスラーも、2018年にフォーブスの「30アンダー30」に選出されていた。同社は2021年1月の調達ラウンド以降に、約7億ドルの評価を受けた。2社の合計の月額会員数は約50万人になる見通しだ。

ラメシュは、統合後のチームの従業員数が3000人以上になると予想している。インパーフェクト社のCEOのダン・パークは「食品分野ではスケールが物を言う。我々のチームが統合することにより、本当に意味のあるディスラプションが起こせる」と述べた。パークは合併後の数カ月の間、戦略アドバイザーとして会社に残ることになる。

インパーフェクト社は、450台以上の自社の配送用のバンで全米に配送する強力な配送ネットワークを保有している。また、この買収で両社のプライベートブランド食品が統合され、顧客に対して100種類をはるかに超えるアイテムを提供可能になる。

今後の大きな目標は、収益化だとラメッシュは述べている。7月の消費者物価指数によると、食料品価格は1年前から13.1%上昇しており、ミスフィット社が割安な販売価格で利益を上げることができれば、大きな変化を起こせることになる。ウォルマートやホールフーズなどの大手が支配するこの分野で、配送コストがかかるオンライン食料品サービスは苦戦を強いられている。

しかし、ラメシュは心配はしていない。「我々は、オンライン食料品の未来を築いている」と彼は語った。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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