米政府、マネロン防止の観点でNFTを監視対象とする可能性

バイデン大統領 / Getty Images

バイデン政権は9月16日、暗号通貨を含むデジタル資産の規制に関する新しいフレームワークを発表した。この枠組みには、暗号通貨の監視の強化や、デジタル米ドルの創設の模索が盛り込まれている。

政府は、この枠組みで米証券取引委員会(SEC)と商品先物取引委員会(CFTC)に対し、違法行為に対する調査を強化するよう促した。また、連邦取引委員会(FTC)と消費者金融保護局(CFPB)に対しても、虚偽行為に対する消費者の苦情に対処するよう求めている。

政府はさらに、マネーロンダリングやテロ防止の観点から、銀行機密法(BSA)の改正を議会に要請することを検討すると述べ、その対象に暗号通貨やNFTの取引所を含める可能性を示唆した。

財務省は現在、分散型金融(DeFi)プラットフォームに関する「不正金融リスク評価」と、NFTに関する別の評価を実施中で、そのプロセスはそれぞれ2023年2月と2023年7月に完了する予定という。

このフレームワークの最も重要な提案のひとつは、米国中央銀行のデジタル通貨、もしくはデジタル米ドルの創設を検討していることと言える。中国が大きくリードしているデジタル通貨は、国境を越えた資金のやり取りを迅速で簡単にする可能性がある。

さらに、このフレームワークはデジタル経済をより公平なものにするため、「即時決済サービス」の導入拡大とノンバンクの決済プラットフォームに対する規制の確立を求めている。

米財務省は金融機関と緊密に連携し、「セキュリティの脆弱性の特定と軽減」を図る一方、環境保護庁やエネルギー省など他の連邦機関に、暗号通貨などのデジタル資産が環境に与える影響を調査させようとしている。

世界第2位の暗号通貨イーサ(ETH)を支えるブロックチェーン「イーサリアム」は15日、「マージ」と呼ばれるシステムのアップデートを完了した。このアップデートは、イーサリアムを支えるブロックチェーンの仕組みを、従来の「プルーフ・オブ・ワーク(PoW)」から、「プルーフ・オブ・ステーク(PoS)」と呼ばれる環境に優しい形態に切り替えるためのものだ。

しかし、マージの完了の数時間後にSECのゲンスラー委員長は、PoSの過程で行われるステーキングと呼ばれる行為が、「証券法の対象となる可能性が高い」と発言した。この発言は、SECがイーサリアムを証券として規制対象とする可能性を仄めかしたのではないかと注目を集めた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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