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2022.09.22 18:00

ワクチンを打って夜を楽しもう! シニアを主人公にしたハイネケンの動画


さらに数人のシニアの男女は、店の外に駆け出し、走りながら服を脱ぎ棄て水着姿となって、海の中へと向かって行く。海辺で気持ちよさそうに踊り続ける中心的なシニア男性の姿をバックに、The night belongs to the vaccinated(夜は、ワクチン接種者のものだ)との文字が映し出され、最後に、Time to join them(彼らの仲間になろう)という文字とHeinekenの商品名が現れて終わりとなる。

動画効果でワクチンに前向きな若者が増える


日本と同様、欧米でもシニアに比べて若者のワクチン接種率が低い。アンチ・ワクチン派もいる中で、ハイネケンは若者に向けてワクチン接種を大々的に主張してきた。アンチ・ワクチン派による「ハイネケン・ボイコット」の呼びかけも起きたりしたが、結果的には大きな動きにはならなかった。

ハイネケンによれば、今回のキャンペーンに触れた27歳以下の64%の人が「ワクチンを接種しようと思う」と答えたという。また、各国のニュース記事でポジティブに報道され、ソーシャルメディアや無料サイトでも1000万回以上取り上げられたことで、400万ユーロ(約5億7千万円)相当の記事紹介やソーシャルメディアでの拡散を獲得した。

また、このキャンペーンに関するソーシャルメディア投稿の60%は肯定的で、さらに、オーストラリアと南アフリカとオランダの政府は、同キャンペーンを歓迎する声明を出したという。

ところで調べてみると、The Night Is Youngという英語表現には慣用的に「夜はまだまだこれからだ」と言ったニュアンスがあるらしく、ワクチンを接種して、夜を、人生を、まだまだ楽しもうよ!というメッセージを伝えているように思える。

コロナ禍を理由に楽しい夜を避けるのではなく、ワクチンをしっかり打って、ハイネケンととともに夜をおおいに楽しもうという、ウィズ・コロナの時代らしい広告コミュニケーションだと言えるだろう。

文=佐藤達郎

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