一方、Whole Foods Marketは、2022年6月6日現在、510店舗の広大なネットワークを持ち、Amazon Freshが定着している地域と同じ地域に集中しています。このことで、Amazonは物流やマーケティングの連携を可能にし、今後の食料品事業の多くを結びつけると思われます。
図5. Whole Foods Marketの米国店舗所在地
出典:ChainXY/Coresight Research
小型フォーマットとデータ駆動型プラットフォームをめぐる新たな競争
米国の小売業では、個々のニーズに合わせた小規模な店舗形態と、より迅速なサービスへの移行が続いています。都市部や郊外に特化した店舗形態や配送スピードは、Amazon Freshの出店に代表されるように、食料品小売分野でのポストパンデミックへの移行を特徴づけています。
Amazon Freshの同業他社は、オムニチャネルの利点と新しいデジタルツールや小規模な店舗形態に対する独自の戦略により、ハイブリッドな食料品店モデルを推進しています。Amazonのライバルである実店舗のWalmartは、Instacartとの食料品配達の試験サービスを拡大し、マンハッタンを除くニューヨークの大部分へサービスを提供し始めました。
また、2022年第1四半期、Targetは7店舗をオープンしましたが、いずれも都心や郊外にある小規模な業態で、購入品のピックアップやドライブアップに改めて力を入れています。更には、倉庫型クラブも参入しており、CostcoはInstacartとの即日配送の提携に加え、一部地域で自社による食料品即日配送サービスの試験運用を開始しました。また、2022年4月からは、BJ’sがローヌ島のワーウィックで、都会の忙しいサラリーマンをターゲットにした小型店舗を試験的に展開しています。
Amazon Freshの技術的優位性
これまでのことをふまえると、Amazon Freshが今後ますます動きを速くし、利益率の低い食料品市場で競争力を維持するためには、デジタルとデータツールの強みを生かす必要があることが分かります。小売業界のデジタルリーダーである同社は、2年前に業界に導入したものが普遍的なトレンドになったとはいえ、まだまだ提供できることがたくさんあります。