キャリア・教育

2022.09.20 20:00

上司がひどいアイデアを提案 うまい対処法は?

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上級職の指導者は、非常にばからしく非現実的なプロジェクトのアイデアを思いつくことがある。上級役員は通常の業務から遠く引き離されているため、皮肉にも特定のプロセスや商品、サービスに関する内部事情に通じていない場合が多い。

筆者は事業戦略コンサルタントとして「フォーチュン200」のある大企業で働いた際、壮大で画期的なアイデアを提案する経営トップ層の役員らと会談する機会が多くあった。しかし、毎日の業務により近い第一線の管理職や従業員と話をすると、こうしたアイデアは野心的なだけでなく、時に非実用的、あるいは完全に実行不可能な場合さえあった。

上級管理職に、この「素晴らしい」アイデアがそれほど素晴らしいものではないことを伝える簡単な方法はないが、ここではそのおすすめの方法を一つ紹介したい。アイデアを没にすることに注力するのではなく、計画プロセスを開始する支援としてリスク分析を行うことを提案しよう。例えば次のような会話例が考えられる。

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副社長「先週休暇を取っていたときに、カフェイン入りの飲み物の人気の高さに気づいた。そこで思ったのだが、なぜわが社ではカフェイン入りの子ども向けビタミン入りグミの開発を考えてこなかったのだろう? あなたが、このプロジェクトを率いるのにぴったりだと思っている」

部下「それはとても興味深いアイデアですね。それは当社の通常の製品ラインから大きく離脱するものになるので、抵抗する人もいるかもしれません。まずはこの分野の専門家を集めて、リスク分析ができたらと思います。それでよろしければ、実施結果を共有させていただきます」

副社長「うん、それは良い考えだ。わが社にとってゲームチェンジャーになる気がしているので、このアイデアを深めていきたい。よろしく」

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このアプローチの良い点は、あなたにとって難しい仕事のほとんどをリスク分析が担ってくれる点だ。あなたは上司に対し、提案されたアイデアがそれほど優れたものではないと告げるプレッシャーを感じずに、リスク分析に説得力のある主張を展開させることができる。

リスク分析の実施方法には多くのものがあるが、結果には次のような基本的な要素が含まれることが多い。

・潜在的なリスク事象のリスト(深刻度の順)
・予想される出来事とそれぞれの潜在リスクがもたらす影響
・最も深刻なリスク事象の特定
・緩和戦略の提案や最も深刻なリスク事象に対する代替計画

対象分野の重要な専門家の見識を織り交ぜてリスク分析を行うことで、専門家の立場から潜在的なプロジェクトについて話す立場に立てる。
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翻訳・編集=出田静

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