──カスタマーサクセスの認知が広がったことで、それに紐づく新しい専門性やキャリアについても注目が高まっています。カスタマーサクセスを仕事とする魅力はなんでしょうか。
私は、カスタマーサクセスとは、顧客に価値を感じてもらうための戦略的なパートナーになることだと説明しています。今までもそのような役割を担う部署があったかもしれませんが、根本的な違いは、顧客に先回りした「率先的なアプローチ」だと思います。
その意味で、顧客に影響力をもたらし得るので、キャリア志向の人たちにとっては魅力的に映るのではないでしょうか。カスタマーサクセスは、既存顧客を維持すること、顧客にサービスの価値を感じ続けてもらうことの重要性を提唱する役割。つまり、これからの組織における中心的な存在になるのです。実際、チーフ・カスタマー・オフィサー(CCO)という職種も浸透し、CCOからCEOに昇進する事例も出てきています。
Pulseには、Hub Spot社のCCOからCEOに昇格したYamini Ranganも登壇(写真右)
私自身は、ゲインサイトでカスタマーサクセスという仕事を担うにあたって、チームメイト(社員)サクセス、カスタマーサクセス、インベスターサクセスという3つの側面を常に意識しています。チームメイト・サクセスとは、ひとりひとりが何を大事にしていて、私たちは何ができるかという視点。カスタマーサクセスは顧客を大成功させるには視点。そしてインベスター・サクセスなビジネスインパクトをもたらすかという視点です。
──ご自身のキャリアステップについてもお話しいただけますか。
私のキャリアは、営業部門からスタートしました。自分自身、人と関わることや関係構築が大好きということもあって、前職でもそこにやりがいと感じていました。当時、カスタマーサクセスといった概念は確立されていませんでしたが、「ただ売っておしまい」というような営業取引があまり好きになれず、今思えば、カスタマーサクセスのようなことを実行していたと思います。一方、新しい挑戦をしたいという思いもあって、ゲインサイトに転職しました。
また、マクロ視点で見たとき、SaaSの時代、サブスクリプション・モデルにおけるリカーリングレベニューの時代において、カスタマーサクセスがこれからのビジネスの最前線のソリューションだ、この波に乗らなくてはと思いました。つまり、自分の関心と時代の流れがうまく交差したところ、それがカスタマーサクセスのキャリアだったわけです。
入社して約5年半になりますが、最初は組織もリーンで業務内容もカスタマー・サービス部門に近かったので、コンサル出身の人などを入れて、手法やフレームワークなどを一緒に開発していきました。
その後は新しいチームづくりなどに貢献し、およそ2年前に現在のチーフ・カスタマー・オフィサー(CCO)に昇進し、カスタマーサクセスに関わる4部門を統括しています。