──カスタマーサクセスという概念自体が創成期にあるなか、社内外のさまざまなステークホルダーへの理解は欠かせないものです。カスタマーサクセスのビジネスインパクトについてもう少し具体的に教えてください。
私は、カスタマーサクセスを組織全体で取り入れることで、ネット・レベニュー・リテンション(Net Revenue Retention、売上継続率)が改善されると考えていています。そして、それは上場企業のステークホルダーが注視している点の一つだと思います。
カスタマーサクセスが、ビジネスの効率化に寄与し、それが成長に繋がっているということは実証されています。ゲインサイト独自の調査で、上場会社のデータ分析した結果、ゲインサイトを使っている会社とそうでない会社の比較では、使っている会社における売上継続率が高いことがわかっています。
もちろんゲインサイトがすべての要因だというわけではないですが、この結果は、ゲインサイトを導入している組織における、カスタマーサクセスに対する評価や成熟度を表す象徴的なデータであり、ゲインサイトはそういった動きをうまく後押しできているのではないかと思います。
私たちがこれまで伝えてきたカスタマーサクセスのメッセージは、逆境にある時こそ組織が大事にしなければならない、成長の力になる基礎だと考えています。パンデミックも一つのきっかけとなり、既存顧客こそが最も効率的な成長のエンジンであるという考えが広まってきています。
ゲインサイト主催のイベントPulseにCEOのニック・メータ(右)と登壇したCCOのケリー・カポーティ
──日本など、今後カスタマーサクセスを浸透させていきたい市場に対しては、どのようなアプローチをされていますか。
日本に関しては、この2年ほどでカスタマーサクセスが加速度的に浸透してきていると見ています。だからこそ、今年、日本法人の設立に至りました。日本でも定着しているSaaS関連の潜在顧客などに対して、そのビジネスモデルと結びつけて説明することがまず第一歩ですね。
リカーリング・レベニュー(継続収益)のモデルにおいて、顧客の力がより強まっていて、だからこそ努力してビジネスを獲得していく必要がある。こういったことをきちんと因数分解して説明し、理解してもらった上で、カスタマーサクセスがいかに成長や顧客の維持に重要な役割を果たしているかを伝えいくつもりです。