ビジネス

2022.09.27

カスタマーサクセスは成長の原動力 ゲインサイトCCOが語る経営とキャリア

ゲインサイトCCOのケリー・カポーティ

カスタマーサクセス管理ツールとしてのソフトウエアを提供するゲインサイト。その主力ソリューション「Gainsight CS」は、既存顧客に関するあらゆるデータを一元管理・可視化することでカスタマーサクセス業務効率化と顧客の成果達成を支援するものだ。

シスコシステムズといった巨大企業から、BoxやWorkdayのように急成長を遂げた企業が導入。日本では、名刺管理サービスを展開するSansanが2018年にいち早く導入。可視化されたデータをもとに、既存顧客に対して適切なタイミングでの営業アプローチをかけることで売上増加につなげた。

自動化や効率化など、テクノロジーとは切っても切り離せないカスタマーサクセスだが、ゲインサイトは、人を大事にする“ヒューマン・ファースト”を掲げている。同社が考える「顧客との関係性」とは何か。それは企業や業界をどう変えていくのか。同社チーフ・カスタマー・オフィサーのケリー・カポーティに聞いた。

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──なぜ、カスタマーサクセスが必要なのでしょうか。

カスタマーサクセスは、事業の持続的成長エンジンです。その本質は、顧客に先回りし、発生しそうな課題のサインをキャッチし、正しいやり方と正しいタイミングで顧客とコミュニケーションを取ること。この点が、何か課題が発生してから対応するという受け身的なカスタマー・サポートとの違いです。

カスタマーサクセスは、顧客がカスタマージャーニーのどのフェーズにいて、どういった課題や成果を意識しているかを把握し、事業価値創造のプロセスを一緒に構築していくこと。つまり、顧客を深く理解することであり、顧客とパートナーとなることを意味します。

──それはまさに人と人との関係であり、ゲインサイトが掲げる「ヒューマン・ファースト」でビジネスを成功に導くというパーパスに通じます。この概念をご説明いただけますか。

私たちはこのパーパスにとても強い思い入れを持っています。これはCEOのニック・メータによる「今、世の中に大量のテクノロジーが溢れる中で、人間的なつながりをどのように再構築するべきか」という課題意識が背景にあります。

ソフトウェアは一つの要素ではあるのですが、人間同士のコミュニケーションやつながりこそが、たとえば競合との差別化要因になるのだと考えています。

一方で、カスタマーサクセスのビジネスインパクトを示すために、営業部門に匹敵するレベルで指標管理を行なっています。私自身、回帰分析をもとにグロス・レベニュー・リテンション(Gross Revenue Retention、総収入継続率)の予測計画を立てます。また、データドリブンを日々重視し、自社の取締役会においてもカスタマーサクセスの明確なビジネスインパクトを説明することができています。
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文・写真=MAKI NAKATA 編集=鈴木奈央

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