でかい!マツダ肝煎りの世界戦略車は、高クオリティだけど賛否両論

マツダCX-60


ダッシュボードからドアパネルまでの連続するデザインが目にやさしい。室内の仕上がりやマテリアルは、間違いなくマツダ車史上最上だと思う。これまでに例のない高級感は、肌や目で確認できる。これで採算が合うか心配になる程だ。

キャビンの写真

メーターには12.3インチのタッチスクリーンが用いられている。スタートボタンをオンにすると、「CX-60」のロゴに続き、実車と同じボディーカラーのアニメーションが流れる。センターコンソールに、ATのシフトセレクターとインフォテインメントのダイヤルを配置。

メーター部分の写真

ピュアホワイトのナッパレザーのオプションもあるけど、僕が乗った車両はタン色のツートーンで、ステッチ入りの素敵なシートが迎えてくれた。また、助手席の前のダッシュには、アルカンターラのようなソフトな素材が新鮮だった。

ここで1つ疑問を持った。今、多くの高齢者などが自動車の事故を起こすのは、実はペダルの踏み間違いではなく、操作ミスという話もある。また、日本のドライバーの10人に9人はリバースのことを「バック」と言う。でも、シフトセレクターには「バック」の「B」ではなく、「リバース」の「R」と言う文字がついているために操作ミスをする人もいるらしい。

シフトノブの部分

けれども、今回のCX−60は、Tバー・タイプのシフトノブを手前のDから押すと、NそしてRに入るけど、Pに入れるには、ドライバーから一番遠い「R」まで倒して、さらに、右の「P」へシフトノブ自体を動かす動作が必要だ。

元々迷いがちのシフトのセレクターに、さらに右に動かす動作が加わることで、また難しくするのは避けて欲しかった。つまり、「Pに入れたつもりでも、実はRにしか入ってない」という間違いがないように、慣れが必要だと思う。

「e-SKYACTIV D」と呼ばれる3.3リッターの直6ディーゼルのマイルドハイブリッドは、車重2トン弱の車両を上り坂でもスイスイと加速させる実力を見せた。2000回転から力強いトルクが溢れたし、A/Tとの相性はとても良かった。ステアリングは十分重さと手応えを持ち、ドライブフィールはニュートラルステアでさすがマツダという感じ。WLTCモードで21.0km/リッターという記録は、同クラスでは良い方だ。

CX-60のサスペンションは、難しい話を避け、前後のピッチモーションが出ないように徹底的に取り組んだという。そして実際、それは見事に結実していると実感できる。つまり、ピッチング方向の動きは消え、視線のブレもほとんど感じない。確かに大型車という感覚はする車だけに、コーナーでは、安定はしていた。だけど、フラット感を保つと言うことではなく、ボディロールをもう少し抑えて欲しかった。

CX-60は、全長4.7m、全幅1.9m弱なので、やはりどの場面でも大きく感じる。でも、その外観と室内のデザインの素晴らしさ、質感の高さは新鮮で、走りの楽しさやパワー感は申し分ない。ただ、市場は547万円のマツダ車を市場がどう受けとめるかが鍵になるだろう。

国際モータージャーナリスト、ピーター・ライオンが語るクルマの話
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文=ピーター ライオン

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