アドビ社は先日、7月のeコマース物価は前年同月比で1.0%下がっていたものの、8月には前年同時期と比べ0.4%上がっていたことを報告した。
ネット販売最大のカテゴリーである電子機器分野では急激な値下がりが続いているにもかかわらず、アパレルや日用品の価格上昇に加え食料品価格の上げ幅が記録を更新したことにより、eコマース(電子商取引)は再びインフレに転じた。
新型コロナウイルス感染症の流行によりネットショッピングへの移行が進んだことで、ネット上の物価は上昇していた。それを受け、アドビは7月まで25カ月連続でeコマースでのインフレを記録していた。
アドビのグロースマーケティング・インサイツ担当副社長のパトリック・ブラウンは8月の報告書発表に際し、eコマースへの消費者需要は今も安定していることから「食料品やペット製品、その他生活必需品など成長中のカテゴリーでは特に物価の上昇が続く」可能性が高いと述べた。
同社の報告書によると、消費者は8月にネット上で約646億ドル(約9兆2500億円)を費やしていた。年水準で見ると6.5%増加していて、デジタル経済の強さが衰えていないことを示している。
報告書の特筆すべきポイントには次のようなものがある。
・食料品分野の価格上昇がさらに記録を更新し、価格は前年比で14.1%上昇した。これは年水準で見た場合の新記録で、これまでに打ち立てられた7月(13.4%)、6月(12.4%)、5月(11.7%)の記録を破るものだ。食料品のオンライン価格は31カ月連続で増加している。
・アパレル価格は6〜7月に下がった後、前年比で4.9%上昇した。この背景には、大幅な値引きや秋の新学年開始に向けた販売促進がある。
・日用品価格は前年比で2.7%増加し、2021年3月以来最大の上げ幅だった。
・電子機器の価格は前年比で10%減少した。このカテゴリーの価格は2021年12月以降、継続して下がっている。
・同報告書で測定された18の商品カテゴリーのうち12カテゴリーでは8月、前年比で物価が上昇していた。
・8月に前年比で物価が下がった6つのカテゴリーは、電子機器、宝飾品類、書籍、玩具、コンピューター、スポーツ用品だった。
アドビ社のデジタル物価指数はアドビ・アナリティクス(Adobe Analytics)のデータに基づくもので、18の商品カテゴリーにわたる1億点以上のSKU(最小在庫管理単位)を網羅する小売サイトに対する約1兆回の訪問によるものだ。
(forbes.com 原文)