規制案には、プライベートジェットに対する多額の課税や運航禁止措置が含まれる可能性がある。フランスは観光客の訪問数が世界で最も多い国であり、同国の方針が変わればその影響は広範囲に及ぶ。
仏観光業にとって「注目に値する」年
フランスの観光業界は今年、盛況の夏を迎えた。オリビア・グレゴワール観光相は、訪問者数が「歴史的」水準に達した可能性があるとしている。中でも、パリ近郊のル・ブルジェ空港は、航空便運航数が新型コロナウイルス流行前の水準に戻りつつあるとしている。ブルームバーグによると、同港はフランス行きプライベートジェットの主要到着地となっている。
ニュースサイト「ザ・カンバセーション」が報じたデータによると、民泊大手エアビーアンドビーは、フランス全土でホテルよりも大きな復活を遂げている。ニースやカンヌといった南仏海岸沿いの人気観光地では米国や湾岸アラブ諸国からの観光客が戻っているが、それよりも観光客を集めていたのが、都市部から離れた内陸地域だった。これは、ポストコロナの観光客が、本物の体験ができる地方部のプライベートな場所を訪れたいと思うようになっていることを示唆している。
プライベートジェット規制は簡単な解決策に?
英デジタルマーケティング企業ヤード(Yard)は最近、世界のセレブが利用するプライベートジェットの運航状況を追跡するツイッターのアカウント「セレブリティー・ジェッツ(Celebrity Jets)」の情報に基づいた分析結果を発表。プライベートジェット利用数が最も多かったのはテイラー・スウィフトの170回で、温室効果ガスの排出量は8293トンと推定された。
多くの人が食品や光熱費などの価格高騰に苦しむ中、政治家は炭素排出量削減策の対象として、より標的にしやすいプライベートジェットに矛先を向けるようになっている。