今回は、夜間や休日の体調不良時に医師を自宅に呼び、診察を受けられる画期的なシステムで事業を拡大中のコールドクター代表取締役社長の合田武広さん。
往診サービス「みてねコールドクター」では、アプリを使い最短30分で簡単に往診を依頼でき、診察後、その場で薬を処方されるスピーディな流れが話題に。健康保険が適用出来る往診に加えて、24時間365日対応のオンライン診療や医療相談も行っている。
そんなコールドクターで多くの医師を率いる合田さんは、医療出身者でなくスタートアップを得意とする起業家。東京工業大学大学院在学中にPitapatを起業し、その後、サイバーエージェントに入社。サイバーエージェントでは、100%子会社のマッチングエージェント(現在タップル)を創業する。そして、2018年に設立したコールドクターは、コロナ禍で新しい生活様式にフィットした医療サービスとして、利用者が急増している。
そんな多忙を極める合田さんの「推しメシ」は、自宅で握る寿司。
「きっかけは、妻の妊娠でした。妊娠中、妊婦はナマモノを食べない方がいいと聞いていたので寿司は全く食べておらず。ところが出産直前に妻が突然『お寿司が食べたい』と言い始めました。寿司屋に行こうかとも考えたのですが、お腹がかなり大きくなっていて、万が一、破水したら、お店にご迷惑をかけてしまうと思い、『家で握ってみるか!』となったのです」。
全くの素人の合田さんが参考にしたのが「熟成鮨利他」という 寿司系YouTuber。シャリや醤油の作り方からネタの熟成方法まで、分かりやすく公開している。
早速、YouTube通りにシャリを作ってみて、ネタは百貨店のデパ地下の高価な刺身を調達。最近は、毎週築地場外市場に行ってネタを仕入れていて、顔を覚えられるほどに。「生わさびにもこだわった結果、高級寿司店と遜色ないクオリティの高さで、自画自賛ながら感動しました!」
それ以来、出産後も隔週、定期的に寿司を握るようになった合田さん。
「家寿司の良いところは、好きなネタが食べられる事。高級店はサーモンがないですが、家ならネタの縛りがない。また、大トロをひたすら食べ続ける事も出来る(笑)。イクラやウニも乗せ放題! さらに、赤酢と米酢のバランスや水分量で変わるシャリ等、寿司に対する知識が深くなるので、寿司屋に行っても大将との会話が楽しくなりました」。
そんな家寿司の様子をSNSでアップすると、友人達からコメントが多くつくように。評判が評判を呼び、ホテルで行う友人の誕生日会で寿司を握ってもらえないかとオファーされるまでになったという。当日、知り合いの寿司屋から極上のマグロと鯛を仕入れて握ったところ、「友人達が本当に美味しい、と喜んでくれて。誕生日会は大成功でした!」
合田さんにとっての「推しメシ」は、発想力の転換から誕生した偶然の産物。しかしながら、その転換力は、ビジネスシーンにも発揮され、「医師のいる病院へ患者が行く」から、「医師が患者の自宅に駆けつける」という逆転の選択肢を構築した。そして、次なる野望(?)も着々と! 「夢は、いつか寿司屋で修行して、自分でお店を出せるようになりたいです」