クックと一緒に発表を行ったのは、アップルの元デザイン責任者のジョニー・アイブに加え、ジョブズの未亡人で慈善活動家のローレン・パウエル・ジョブズという豪華な顔ぶれだった。パネルの司会は今回でコード・カンファレンスの主催者から退くジャーナリストのカーラ・スウィッシャーが務めた。
パウエル・ジョブズによると、このアーカイブはジョブズのアイデアの源泉にフォーカスしたもので、アクセスするとまず、ジョブズが2010年9月2日に自身に宛てて送信したEメールが表示される。
彼はそのEメールの中で、言葉や衣服、音楽から法律まで、身の回りのほぼ全てのものが、他の誰かによって発明されたものだと語っている。そして、「病気の治療が必要になったとき、私は自分では何もできなかった」と結んでいる。
「トランジスタもマイクロプロセッサも、オブジェクト指向プログラミングも、私が扱っているテクノロジーのほとんども、私が発明したものではない。私は、生きている人も亡くなった人も含めて、人間を愛している。そして、私の人生とウェルビーイングを完全に彼らに依存している」とジョブズは述べている。
このメールは、ジョブズが自分の心の中にあるものを捉えるために書いたものだ。アーカイブには、この他にもアップルの社内会議のビデオや、スタンフォード大学での卒業式のスピーチなど魅力的なコンテンツが揃っているが、筆者としては特に、1997年のアップルの「Think Different」の広告キャンペーンのナレーションとして録音されたジョブズ自身のボイスに注目したい。
実際の広告では俳優のRichard Dreyfussの声が使用されたため、このバージョンを聞いたことがある人は少ないはずだ。
パウエル・ジョブズは、このアーカイブがスティーブ・ジョブズの長年の考え方に根ざしたものだと説明した。彼はかつて、「自然界以外の地球上の生活を支配するすべてのシステムは、他の人間によって作られ、設計されている」と述べていた。「そのことを理解すれば、それに変化を加え、突き動かし、問い返し、伸ばしていける。そうやって進化が起こっていく」とジョブズは述べていた。
(forbes.com 原文)