経済・社会

2022.09.15 16:45

コスト増も2割の企業は価格転嫁できず その理由は

エネルギー価格の高止まりや、円安進行による輸入費用上昇のなか、企業はコスト増加分を価格転嫁すべきかどうか、経営判断を迫られている。

帝国データバンクが9月15日に公表したアンケートによると、「多少なりとも価格転嫁できている」企業は70.6%となった。ただ「価格転嫁率」は 36.6%にとどまっており、これはコストが100 円上昇した場合に36.6円しか販売価格に反映できていないことを示している。

「すべて価格転嫁できている」企業は2.3%で、「8割以上できている」が11.7%、「5割以上8割未満」が16.7%。一方で「全く価格転嫁できていない」企業は18.1%だった。

競争環境などが圧力に


価格転嫁に踏み出せない企業には、どのような要因があるのか。アンケート内容を紹介する。

・見積書には転嫁した単価を提出したが、競争が激しく販売価格は今までとほぼ変わらない (パッケージソフトウェア) 
・同業他社も価格転嫁ができていないなか、業界全体として連帯して、価格転嫁が可能な環境を作ることが必須(一般貨物自動車運送)
・工事量全体が増えておらず、受注競争が激しく、材料費や外注費(加工費、労賃)などの上昇分を転嫁できていない。現状は粗利益を極限まで削って耐えている(不動産代理業・仲介)

業界内の競争環境が、増大するコストの販売価格反映に圧力をかけている。

文=露原直人

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