60点取れたら十分 ナジャ・グランディーバの「望みすぎない」人生哲学

ナジャ・グランディーバ(撮影=小田駿一)

大学在学中にゲイバーでアルバイトしたことをきっかけに、女装家=ドラァグクイーンになったナジャ・グランディーバ。10年ほど前にタレント業に軸足を移し、現在は「ゴゴスマ」をはじめ、多くのテレビ・ラジオ番組に出演。

今春には、初の著書『毎日ザレゴト 人と比べて生きるには人生短すぎるのよ』を上梓し、じわじわと版を重ねるなど、人気と活動の場を広げ続けている。

SNSの浸透によって、自分と人とをつい比較してしまいがちな今の時代。自分の足りない部分ばかりが目についたり、他人を妬ましく思ったり。どうしたら、自分らしく生きることができるのか。

「基本的に6割の力で」をマイルールに掲げ、欲のなさがチャンスを引き寄せてきたと話すナジャ・グランディーバに、自分の強みを見つけ、自分らしく生きるためのヒントを聞いた。

なんでそんなに頑張らなあかんのかな


幼い時から欲がなかったんですよ。通信簿にも「本気を出せば、勉強できる子なのに」っていつも書かれていたんだけど、結局最後まで欲を出さなかったのはなんでなんかなあ。基本的に「頑張るのが面倒くさい」っていう気持ちが強くて、何に対しても「なんでそんなに頑張らなあかんの」って思ってしまう性格なんです。

学生時代から自分がゲイであることを受け入れて、男子とも女子とも仲良くしてきたけど、それは別に自分で「努力」してそうしたわけじゃない。

自分は周りとは違うのかなっていう自覚はあったけど、「人と違うのが自分ならもう変えられないし、仕方がない」っていう開き直りのスタンスで生きてきたんよね。今の言葉で言うなら、自己肯定感は高いのかもしれない。

大学時代、居場所が欲しいなと思って働き始めたのがゲイバーだった。ただ飲みに行っただけやったんだけど、そのお店のママに「明日から働かない?」って言われたの。そこから女装にどっぷりハマってしまった。私はただ「導かれる方に行った」だけで、結局いままで好きなことしかやってきていないんです。

「次は自分の番かも」くらいに思っていればいい


最近、いまの自分を、他人や過去の自分と比べて苦しんでいる人がすごく多いなって思う。でも、その苦しみは自分で自分の首を絞めて生み出しているようなものだと思うのよ。

例えば、去年の自分に満足してないのなら、今年は多少上を求めて頑張ってみるのはいいけど、去年がぼちぼちよかったのなら、今年もそれでいいやんって思ってしまう。
次ページ > ネガティブな思い込みに囚われるのはソン

構成=松崎美和子 写真=小田駿一

タグ:

連載

才能の見つけ方

ForbesBrandVoice

人気記事