今こそヨーロッパ旅行をすべき、エネルギー問題は気になるが

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今夏、パンデミックなどさまざまな問題にもかかわらず、ヨーロッパへの旅行が人気を博した。航空会社のキャパシティが回復したことと、ドル高もあって運賃も安く、この人気は秋まで続きそうだ。

9月から10月にかけての「ショルダーシーズン」は、気温も低く、混雑も少ないため、ヨーロッパ旅行に適した季節と考えられてきた。2022年は、夏に拡張されたヨーロッパの主要空港での移動が楽になるかもしれない。ヨーロッパのエネルギー供給には疑問が残るものの、通常オフシーズンとなる晩秋まで、航空会社のキャパシティは拡大する。

ロンドンに本社を置くグローバル航空情報アドバイザリー企業Ishka(イシュカ)のコンサルタント、ポール・オドリスコルは、ヨーロッパに旅行する米国人にとって、ドル高と比較的高い航空座席数は、運賃の低下を意味する可能性があるという。

「特に米ドルで支払う人には、キャパシティの観点から、魅力的なチケット価格となる可能性があります」と、オドリスコルはいう。彼は、OAG(オフィシャル・エアライン・ガイド)のスケジュールによると、11月と12月に公表された大西洋横断便のキャパシティは、2019年よりもわずかに高いことを指摘した。

「United(ユナイテッド)とDelta(デルタ)はともに、大西洋横断路線のキャパシティを2019年よりも多くスケジュールしています(United10%増、Delta6%増)。多くのアジアへの路線がまだ回復していないため、大西洋横断市場はこのキャパシティの唯一の他の出口となっています」と、オドリスコルは続ける。 一方、ヨーロッパの都市に加え、ドーハとテルアビブを含むAmerican(アメリカン航空)の12月のスケジュールは、利用可能な座席が0.3%少なく、2019年と同じだ。Boeing(ボーイング)がアメリカン航空に787を予定どおり納入していれば、キャパシティはもっと高くなるはずだったとアメリカン航空は述べている。

さらに、オドリスコルは「スカンジナビアの航空会社SASとFinnair(フィンエアー)は、ロシア領空禁止令で最も大きな打撃を受け、ワイドボディ機を大西洋路線に展開している」と述べた。SASは2019年より20%、Finnairはなんと60%増の座席を大西洋路線に予定している。

為替に関しては「ユーロとポンドに対するドル高、さらにヨーロッパではこの冬にガスや電気料金の大幅な値上げを控えているため、航空会社はおそらく飛行機を埋めるために米国の乗客に目を向けるでしょう。1985年以来、ポンドが対米ドルで最も弱い水準にある今、大西洋横断の旅には絶好の機会かもしれません」と彼は述べている。

旅行作家のジョー・ブランカテッリは、ヨーロッパ旅行の利点のいくつかは、相殺される可能性があると警告している。

彼によると「ユーロと英国ポンドは両方ともドルに対して歴史的に弱く、(これは)通常、すばらしいバーゲンを意味します。しかし、現在、基本的に米国よりも高いインフレによって相殺されます」
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翻訳=上西 雄太

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