2019年8月の初のワンマンライブ「不可解」では、事前にクラウドファンディングを実施。目標額500万円に対し、4000万円を超える支援金を集めた。また、劇場ライブビューイングやYouTubeライブの視聴者数を合わせると、同時視聴の累計は18万5000人とななり大きな注目を集めた。
現在、YouTubeチャンネルの登録者数は約72万人、総再生回数は2億回を突破している(2022年9月現在)。そしてこの8月24日にはミュージシャンの聖地「日本武道館」でワンマンも成功させた。
そんな飛ぶ鳥を落とす勢いの花譜に、「30 UNDER 30 JAPAN」エンターテイメント部門の受賞者に選ばれた感想を尋ねると、「他人事のようでした。30人の中に自分が選ばれたの?みたいな。本当にびっくりしました」と、気負うことなく答えた。
「日本の何処かに棲む、何処にでもいる、何処にもいない18才」花譜の素顔とは──
花譜は私ひとりのものではない
花譜が音楽活動を開始したのは2018年10月、14歳の時だった。幼いころから歌が好きで、家族の影響でジャニーズやAKB48の曲が好きになり、歌詞を覚えてよく歌っていたという。
小学校5年生の時、姉から音楽アプリを教えてもらいボカロの世界を知った。そしてそこからネットの世界にどんどんはまっていき、音楽アプリに自らの歌をアップするようになる。
その歌声を見つけたが、YouTube発クリエイティブレーベルKAMITSUBAKI STUDIOの統括プロデューサーであるPIEDPIPERだ。花譜はその時のことを、「全然知らない人から歌や声を褒めてもらったのは初めてのことだったので、すごくうれしかったです」と振り返る。
「歌うことが好き」「やってみたい」という一心で、この世界に飛び込んだ花譜。PIEDPIPERからバーチャルシンガーの提案をされた時は、全然知らない世界にワクワクした。だが、3年たった今は、「あの時はバーチャルの世界のことを何もわかっていなかったと思う」と話す。
「花譜は自分の分身だけれど、自分とは違うところもたくさんあって。不思議な感じなんです」
バーチャルの世界は日々目まぐるしく進歩している。そんななか、「自分は花譜のことを何もわかっていない」という思いに捉われることがあるという。
「そういう時、自分はどこに行けばいいんだろうって、置いてきぼりにされたような気持ちになるんです」