ヴェネチア国際映画祭開催中の上演も、こうしたクリエイターたちがそれぞれ違う場所からリアルタイムで参加していたのも印象的でした。ヴェネチア現地と東京・辰巳にあるWOWOW放送センターを拠点に、各地にいる制作スタッフがコミュニケーションアプリの「Discord」でやり取りしながら、メタバース空間の主流VRプラットフォーム「VRChat」で作品を完成させたのです。
ヴェネチア現地のTypeman参加者(WOWOW提供)
進化系エンタメの可能性に賭ける
「イタリアと日本を繋いでメタバース空間で公演を行うという進化系のエンターテイメントの可能性に賭けています」と語るWOWOW田中晃社長は、継続的にVRコンテンツに投資していく意向も示しています。
「映像エンターテインメントとテクノロジーの進化は不可分な関係で成長しており、白黒からカラーへ、そして3Dや4Kといったあらゆるテクノロジーの進化と作品のクオリティは、歩調を同じくして進んでいます。その可能性の1つとしてVRを捉え、没入感あるエンターテインメントを提供することも追求していきたい」
WOWOWにとってのキラーコンテンツであるテニス世界大会の視聴体験をメタバース空間と組み合わせるかたちなど、新しいコンテンツの具体例も示しました。
エンターテインメント企業が話題沸騰のメタバース関連コンテンツに注目しているのは、ある意味当然の流れでしょう。WOWOWは、VR演劇「Typeman」という新たな取り組みから生まれた作品から、既存のエンターテインメントの楽しみ方を広げる価値を早くも見出しているようです。
連載:グローバル視点で覗きたいエンタメビジネスの今
過去記事はこちら>>