ウォーレン・バフェットが出資するBYDは、タイの工業団地大手WHA Corporation Public Company Limitedから、EVを生産するための土地を購入する契約を締結したと発表した。同社によると、生産開始は2024年で、タイ市場向けと輸出向けに年間約15万台を生産する計画という。
BYDにとって、タイ工場は中国国外で乗用車を生産する初の自社工場となる。深圳に本拠を置くBYDは、米国でバスを製造しているが、米国での知名度はまだ低い。しかし、今年に入って同社の時価総額は一時、GMとフォードの合計を上回った。同社は、タイ工場への投資額については言及を避けた。
一方、新華社通信は9月5日、EV用バッテリー世界最大手の中国の「寧徳時代新能源科技(CATL)」が、ハンガリーのデブレツェン市と不動産売買契約を締結し、同市に工場を建設すると報じた。
CATLにとって、ハンガリー工場はドイツに続いて欧州で2番目の工場となる。同社は先月、この工場の建設に73億4000万ユーロ(約1兆600億円)を投じる計画を発表した。デブレツェン市は、CATLの顧客であるメルセデス・ベンツやBMW、フォルクスワーゲンの本社から近い場所にある。
「ハンガリーのグリーンフィールド・プロジェクトは、CATLのグローバル展開において大きな飛躍となる」と、CATL会長のロビン・ゼンは、8月の声明の中で述べた。ゼンは、中国で最もリッチなビジネスリーダーの1人で、フォーブスはその資産額を370億ドルと推定している。
CATLも海外進出を加速
ハンガリーに目をつけている中国のEVメーカーはCATLだけではない。7月29日、ハンガリーのシーヤールトー・ペーテル外務貿易大臣と、EVメーカー「NIO」の欧州事務所のHui Zhang副社長は、NIOのバッテリー交換装置を生産する工場が9月に操業を開始すると発表した。
中国のEVメーカーは、今では世界的に高い競争力を有している。国際エネルギー機関のレポートによると、2021年に中国で販売されたEVの台数は330万台で、2020年に全世界で販売された台数を上回った。また、中国の2022年第1四半期のEV販売台数は前年同期比で2倍以上に増加した。
中国のEV関連企業は、米国にも投資をしている。SEMCORP(上海恩捷新材料科技)は、EVバッテリー用セパレータフィルムの製造工場をオハイオ州シドニーに建設すると5月に発表した。
CATLも北米の拠点を探していると伝えられている。ロイターは8月3日、関係者の話として、同社がフォードにリチウムイオンバッテリーを供給し、2026年までに北米でバッテリー生産を開始する計画だと報じた。
昨年S&Pが公表したレポートによると、中国企業によるリチウム鉱山の買収も相次いでいる。CATLとZijin Miningはアルゼンチン、Tianqi Lithiumはオーストラリア、Ganfeng Lithiumはカナダでそれぞれリチウム鉱山を買収している。
(forbes.com 原文)