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2022.09.27 12:30

アルCEOけんすうの偏愛漫画『G戦場ヘヴンズドア』|社長の偏愛漫画 #4

ビジネスも人生も、漫画が教えてくれた──。

経営者が座右の書とする漫画作品を紹介する連載「社長の偏愛漫画」。自身の人生観や経営哲学に影響を与えた漫画について、第一線で活躍するビジネスリーダーたちが熱く語ります。

第4回目は、マンガコミュニティサービス「アル」代表取締役CEOの古川健介(けんすう)が登場します。聞き手を務めるのは、漫画を愛してやまないTSUTAYAの名物企画人、栗俣力也。


栗俣力也(以下、栗俣):漫画を読み始めたのはいつ頃からですか?

古川健介(以下、けんすう):
小学生の頃からですね。山田玲司先生の『Bバージン』(小学館「週刊ヤングサンデー」に1991〜1997年まで連載)にドハマリしていました。設定はバブル期。オタクの少年に好きな子ができて、姉妹3人の力を借りてイケメンになるのだけれど、好きな女性のために、ほかの女性とは体の関係をもたず、純愛を貫くという話です。

『Bバージン』はコミックスで読み、中学生になってから「週刊ヤングサンデー」を読み始めました。『ザ・ワールド・イズ・マイン』『殺し屋1』など、あの頃の「ヤングサンデー」はバリッバリに尖っていた。

栗俣:
ほかの雑誌に行くとそこまで狂ってない作品を描いている作家が、「ヤングサンデー」で描くとおかしい(笑)。

けんすう:廃刊になるギリギリを攻めていました。

栗俣:
『G戦場ヘヴンズドア』は小学館の「IKKI」に連載されていました。「IKKI」も尖りすぎて廃刊になりましたが。この作品に出合ったのはいつ頃でしょうか?

けんすう:大学時代にインターネットサービスを作り始めたときに読んだ作品です。モノ作りに対する衝動の高さ、思いの強さといったところで非常に影響を受けました。あまりにも好きすぎて、当時やっていた「したらばJBBS」(掲示板システム)というサービスの広告枠を、ずっとこの漫画にしていたぐらいです。

漫画家の息子として生まれた堺田町蔵は、自分はストーリーテラー(原作者)の仕事を引き受け、同級生の長谷川鉄男に作画を担当してもらって漫画家を目指します。町蔵の両親は離婚しており、離婚後の父親との関係はうまくいっていません。鉄男の両親も離婚しているうえに、父親の阿久田鉄人は漫画誌の編集長を務める同業者です。

第1巻を読み始めると、創作に携わる作家も編集者も、登場人物がみんな全然幸せそうじゃない。「漫画を描くことしかできないから漫画を描く」「すべてを捨て去ってでも漫画の仕事に人生をかける」と言わんばかりで、「漫画家にとって一番大事なのは人格だ」というストイックで哲学的な発言も飛び出します。

『G戦場ヘヴンズドア』は、すべてを捨て去ってでも漫画を描き、漫画を描くことに人生を賭ける人たちの物語です。そのバランス感覚のなさが、あこがれの対象になっているところがあるかもしれないですね。

栗俣:バランス感覚のなさ?
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インタビュー=栗俣力也 文=荒井香織

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