そしていまビムソンは、スポートレーダーの長期的成長の鍵を握る市場、米国でのリーチを拡大するために奔走している。
2022年第2四半期、米国におけるスポートレーダーの売上高は、前年同期比66%増となる3050万ドルを記録した。直近四半期である6月30日締めの3カ月間を見ると、米国の売上高は全体の16.4%を占めている。
スポートレーダーの最高経営責任者(CEO)で、2001年に同社を創業した人物でもあるカーステン・カール(Carsten Koerl)は、2022年8月に開催されたアナリスト向けの電話会見の席上で、同社の米国事業について、2019年から2021年にかけての年平均成長率が57%に達したと明かした。
同社は、米国ではまだ黒字化を達成していないものの、カールによれば「当初の目標だった2025年より少なくとも12カ月早く」、つまり2024年までに黒字化を見込んでいるという。
スイスに本拠を置くスポートレーダーが、ミネソタ州に本拠を置くスポーツデータ(SportsData)を買収し、米国市場に進出したのは2013年末のことだった。スポーツデータは、グーグルやフェイスブックのほか、大学スポーツのパシフィック12カンファレンス(Pacific-12 Conference、通称Pac-12)などをクライアントに抱えていた。
そして現在、スポートレーダーは米国で、NBA(全米プロバスケットボール)、NHL(全米プロアイスホッケー)、MLB(メジャーリーグ・ベースボール)、NASCAR(米ストックカー・レース)などのスポーツリーグと契約を結んでいる。
NBAは、スポートレーダーの株式も保有している。それぞれがNBA所属チームのオーナーであるマイケル・ジョーダンやマーク・キューバン、テッド・レオンシス(Ted Leonsis)は、2015年からスポートレーダーに投資している。なかでも、2021年9月にスポートレーダーへの投資額を増やしたジョーダンは、スポートレーダーの取締役会顧問を務めている。
スポートレーダーでは、各スポーツリーグと契約を結ぶだけでなく、ドラフトキングズ、ファンデュエル、BetMGMといったスポーツベッティング(スポーツ賭博)事業者にもデータや製品を提供している。これら3社はまた、スポートレーダーからさまざまな競技のストリーミング配信権を取得し、自社アプリに試合映像を表示させている。