アップルの売上高の50%以上を占めるiPhoneは、決算だけでなく、同社のエコシステムの人口を維持もしくは増加させる要因となり、結果としてアップル全体のビジネスの将来を占うことになる。
維持された価格の見方
ベースモデルとなる6.1インチのiPhone 14は799ドルに据え置かれた。日本での価格は円安の影響で上昇し、税込11万9800円からという販売価格は、控えめにいっても割高感しかない。ただし、米国では少し見方が違う。急激なインフレに見舞われている米国市場でも価格を守ったことは、むしろ相対的な価格の低下につながるのだ。
日本で最も高い最低賃金(時給)は東京都で、2022年10月から1072円だ。税込11万9800円のiPhone 14 128GBモデルを購入しようとすると、最低賃金の112時間分に相当する。
米国で最も最低賃金が高く設定されているのは、アニメーション制作会社Pixarの本社があるサンフランシスコ対岸の街カリフォルニア州エメリービル市で、消費者物価指数(CPI)に連動して上昇を続けており、2022年7月1日の改訂で時給17ドル48セントになった。原稿執筆時点のレート(144円)で換算すると、約2517円に相当する。
iPhone 14 128GBモデルの米国での販売価格は799ドルで、これにカリフォルニア州の物品税10.5%を加えた金額を、最低賃金で割ると、50.5時間という数字が出てくる。日本の半分以下の時間で、iPhoneの購入金額を満たせてしまうのだ。
物価に対する感覚は相対的なものではあるが、特にアップルにとって最大の市場である米国において、日本人が思うほど、据え置かれたiPhoneの価格が高いと思われない可能性があることは、留意すべきだろう。