テクノロジー

2022.09.14 14:30

急成長する配送市場に応えるハービンジャーの電動中型トラック用シャーシ

(c)Harbinger

スポーツカーでもピックアップトラックでもSUVでもないが、デトロイトで開催される北米国際自動車ショーで発表される製品の1つは、将来、玄関に荷物を届ける電気トラックや各地のキャンプ場へ移動する電動RV車の土台となる可能性が非常に高い。

ロサンゼルスに拠点を置くスタートアップHarbinger(ハービンジャー)は、配送トラックやRVを含むクラス4からクラス7の中型車用の新しいバッテリー式シャーシを発表する。このシャーシはコスト削減、ドライバーの疲労や怪我の軽減、性能と安全性の向上を目的として設計されている。

実際、これは急成長する中型トラック市場における最新のイノベーションで、急成長するミドルマイルおよびラストマイル配送市場に対応するものだ。

ハービンジャーは、CEOのジョン・ハリスを含む3人のEVスタートアップのベテランによって、約18カ月前に設立された。ハリスCEOは先のインタビューで、中型電気自動車のための新しいシャーシを作るというアイデアは、創業者たちがこの市場セグメントに抱いている「魅力」、そして既存のソリューションに対するフラストレーションから生まれたと説明している。

「誰かがちゃんとやってくれるだろうと思っていました。しかし、待っても待ってもダメでした。それは実現しなかったんです」とハリスCEOはいう。「パンデミックは10年間分のeコマースの成長を18カ月に加速させました。私たちは、一から始めることにしたのです」

そのために、電気自動車固有の重要な要素を考え直した。モーター、インバーター、ギアボックスを交換可能な一体型ユニットにまとめたハービンジャーのeAxle(イーアクスル)は、その最も革新的な技術だ。

このeAxleは、いわゆるde-dion beam(ドディオン式ビーム)と呼ばれるものと結合している。

「ドディオン式ビームでは、曲げモーメントを支えるフローティングビームにハーフシャフト、アンティスエイ・バー・システム、そしてリーフスプリング式サスペンションを組み合わせています」ハリスCEOは説明する。「アクスルビームのような一体型のユニットとは異なり、私たちはそれぞれのパーツを個別に最適化することができます」

ハイポイドギアとUジョイントを排除し、スパイラルベベルギヤのみを使用する構造に移行することで「業界の既存ソリューションと比較してエネルギー効率を約15%改善することができます」と、ハリスCEOは続ける。

バッテリーパックは20年、つまり商用トラックとほぼ同じ寿命になるように設計され、安全のためにフレーム内に設置されているとハリスCEOはいう。
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翻訳=上西 雄太

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