米ロータリークラブがEV用バッテリー製造のため全米で電子廃棄物を回収中

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テスラの共同創設者JBストラウベルが立ち上げたバッテリー再生・材料会社のRedwood Materials(レッドウッド・マテリアルズ)は、世界最大の奉仕団体の1つであるロータリークラブと協力して、使用済みのバッテリーや電子機器の回収を草の根レベルで開始した。使用済みのバッテリーや電子機器から貴重な金属を取り出し、電気自動車(EV)用の新しいリチウムイオン電池を製造することを目指している。

米ネバダ州リノに拠点を置く同社はEV用バッテリーの電極の製造も準備中で、ロータリークラブとのリサイクル提携を全米に拡大して使用済みバッテリー、携帯電話、ノートパソコン、電動工具、その他の機器を臨時回収所で集めている。この取り組みは今年シリコンバレーで開始された同団体との最初のプログラムがベースになっている。同社によると、最初のプログラムではカリフォルニア州ロスアルトス、クパチーノ、サンノゼのクラブからすでに数万ポンドのリサイクル品を集めた。

使用済みの電子機器やそのバッテリーには必要とされる金属がたくさん含まれているが、アルミ缶やガラス瓶と違って現在回収・再利用されているのはほんの一部にとどまっている。リチウム、コバルト、ニッケル、マンガンなどの金属は1トンあたり数千ドルで取引されているにもかかわらずだ。同社によると、現在米国でリサイクルされている電子機器廃棄物は全体のわずか17%、リチウムイオン電池は5%以下だという。

世界各地に4万6000の支部を持ち、140万人の会員を抱えるロータリークラブとの提携は、レッドウッドがすでにフォルクスワーゲン、アウディ、トヨタ、フォード、ボルボ・カーズ、そして電気トラック・バスメーカーのプロテラ、自転車メーカーのスペシャライズドと提携している米国でのリサイクル活動をベースにしている。また、アマゾン、パナソニック、北米最大の電子機器廃棄物処理業者であるERIともリサイクルプログラムを展開している。レッドウッドは、ロータリークラブとの提携で今後どれくらい資源を回収できるか見通しは明らかにしていない。

リチウムイオン電池に使用される材料の需要は急増しており、大手自動車メーカーがこぞってEVやEVトラックの増産を計画していることから、今後数年間で需要は少なくとも500%増えるとみられている。リサイクルで必要な材料の一部を賄えるが、カリフォルニア州ソルトン海の地下にある火山性の塩水からリチウムを採取する計画など、さらなる採掘・抽出も需要に応えるために必要だ。

「このような急激な需要増にリサイクルでは対応できない。実際、気候変動対策製品を作るためには、多くの新しい鉱物を採掘する必要がある」とレッドウッドの政府関係・コミュニケーション・消費者リサイクルプログラム担当副社長のアレクシス・ジョージソンはフォーブスに語っている。「しかし、一度配備された製品は、ほぼ無限にリサイクル可能なサイクルに入るだろう」

同社は現在、年間少なくとも6ギガワット時の使用済みバッテリーを受け入れていて、これは8万台超のEVに供給できる量だと見積もっている。また、携帯電話などの家庭用機器には比較的多くのコバルトが含まれているため、特に魅力的な回収品目だと指摘している。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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