2001年にテンセントに出資した南アフリカのインターネットグループ「ナスパース」は9月7日、110万株のテンセント株を売却し、持ち株比率を28%以下に引き下げたと発表した。さらに、ナスパースの子会社でオランダに拠点を置く投資会社のプロサスも、約76億ドル(1080億円)相当のテンセント株を香港の中央清算決済システム(CCASS)に移管しており、売却を進めると見られている。
ナスパースは、自社株買いプログラムの資金調達のためにテンセント株を売却したと述べたが、アナリストは、この売却が利益確定の売りだと考えている。ソフトバンクも最近アリババの持ち分を削減し、バークシャー・ハサウェイも電気自動車(EV)メーカーBYDの持ち株を売却した。
香港に拠点を置くKaiyuank Capitalの最高投資責任者のBrock Silversは、「世界の投資大手によるハイテク株からの撤退は、中国経済の重要な変化を反映している。莫大なリターンを生み出した桁外れの成長が戻ることはないだろう」と述べた。
テンセントは今年8月、四半期売上高が初めて前年同期比で減少したと報告した。深センに本拠を置く同社が、成長軌道に戻れるかどうかは非常に不透明だ。主力のゲーム事業は国内で規制圧力にさらされ続け、かつて急成長した広告部門は、度重なる当局の締め付けや中国経済の低迷によって苦戦している。
アリババは東南アジアの子会社のLazadaを通じて欧州などの海外でのビジネスチャンスを模索しているが、テンセントも9月6日に人気ゲーム「アサシンクリード」で知られるフランスのユービーアイソフトへの出資比率を11%に引き上げると発表した。同社は、その一週間前に人気のRPGゲーム「Elden Ring」の開発会社フロムソフトウェアの株式16.25%を非公開の金額で取得していた。
しかし、投資家はテンセントとアリババの復活を確信しておらず、両社の株価は過去12カ月で3分の1以上下落している。また、ネガティブな市場心理が続く中、BYDも成長の勢いを維持できるかどうかという問題に直面している。